名阪甲特急

近鉄には甲特急と乙特急がある。甲特急はノンストップで乙特急は主要駅停車。所用で名古屋に行った時、帰りに鉄ヲタとして近鉄に乗ることにした。アーバンライナーが走り出した頃だったので、アーバンライナー狙いだったが、夜も遅かったのでやってきたのは12600系。
名古屋を発車したところでおばあさんとおばさんが騒ぎ出す。どうやら四日市に行く予定で乙特急に乗ろうとしていたのだが、甲特急に乗ってしまったことに気付いたらしい。折悪しくも満席。車掌の検札。そこで乗り間違いを申し出る。車掌「そら大阪まで行って引き返してもらわんと。駅に連絡を入れておきます」とのこと。落胆しながらも「迷惑はかけられないから」と自分を納得させるおばあさん。周りの人が席を譲り出す。「迷惑はかけられない」と固辞するも、無理やり座らせる。周りからも「伊勢中川で代わりますわ」と声がかかる。「じゃ、大和八木で」という声もかかるころ、四日市通過。すると慌ただしく車掌がやってくる。四日市近くの小さな駅で「臨時停車します。おりてください」と車掌。おばあさんはその駅でおりていった。タイミング良く向かい側のホームには四日市に向かう電車が停車中。車掌は「あれに乗ってください」と案内。おばあさんは乗客や車掌に礼を言いながら下車。発車した後の車内では「よかったなあ」の声、声、声。車内放送は「乗客の乗り間違い」ということは一言も話さなかった。「運転停車」とか言っていたような。いい話だ。