ブクマへの返答

id:yuki-esupure氏のブクマについて。
「最近突然アイヌを語る人が増えたが、チベット問題をかき消そうとしてるようにしか見えない」と書いてあるが、私のエントリが「最近」「突然」「アイヌを語る人」に該当するのだろう。そうでなければそれをわざわざ私のエントリへのブクマにする必要はないからである。
氏には是非私のエントリを否定する根拠を示していただきたい。私は「最近」「突然」アイヌ問題について語ってきたのではなく、20年にわたってアイヌ問題に関心を持ち、この10年間大学でアイヌ問題を講じたり、学界に研究成果を学術論文という形で公表してきたのであるが、それをid:yuki-esupure氏は「最近」「突然」アイヌ問題を語り始めた人と評価した。id:yuki-esupure氏はその評価を明らかにしたことに対する責任を負う。id:yuki-esupure氏には是非その根拠を示していただきたい。
追記
id:yuki-esupure氏の考えもわからないでもない。確かにアイヌ問題を安直に語る人が多いのは事実である。1970年代の入門書レベルの安直な歴史認識アイヌ問題を語り、チベット問題に結びつける風潮には私も疑問に思ってきた。典型的な歴史認識を挙げると、アイヌは関東まで分布していたが、「征夷」事業で北に追われていった、というものである。そしてその文脈で日本の「侵略」行為を非難するものである。平安時代の「征夷」事業を今日のチベット問題と関連付けるのは大いに問題がある。
ただもう一つ挙げれば、先住民族問題という側面での共通性はある。その点は下のエントリに述べた通りである。
追記
id:yuki-esupure氏から言及をいただいた。私のほうこそいささか激越な言葉遣いになったことに申し訳ない気もする。ブクマにも書いたし、上にも書いたが、アイヌ問題を安直に語る人が多い、というのは事実である。明らかに誤っていて、アイヌに対する差別意識すら内包した一見アイヌに同情的な知識で書かれた論説はアイヌ問題の理解にもチベット問題の理解にも百害あって一利なしである。