景況感大幅悪化

朝日新聞の100社調査。「景気拡大『終了』53社」とある。というか景気って拡大していたのか、という印象。何せ教育という斜陽産業に身を置いているもので全く景気のいい話は聞かず、ずっと景気が悪かったままなのだが、「景気拡大が終了と感じている企業が多い」ということは、実際好景気だったのだろう。「史上最高益」だったようだが、それが内需の拡大に結びついていないことが最大の問題点だったのではないか、と思える。
証券アナリストの松下律氏は次のように述べる(「http://www.shinseibank.com/trust_info/jstock/page02.html#jstock_02」)。

日本株の極端な不振は、次のような原因があります。

* 輸出主導の経済回復が個人消費の拡大につながっていない経済ファンダメンタルズの弱さ
* 円の対米ドルレートの高騰
* 原油を始めとする資源価格の高騰など

しかし、より直接的には「株式需給の悪さ」が大きく影響していると考えられます。

「株式需給の悪さ」とは何か。松下氏は次のように言う。

(現在の需給悪の原因は)主として外国人投資家の売越し基調です。2003年春に至るまで日本の金融機関が日本株を売却した局面で、買い方に回ったのが主として外国人投資家だったわけですが、彼らはその後も積極的に日本株を買い続けました。特に2005年夏以降は小泉政権の改革路線への期待もあって、大幅な買越しを続けました。
その結果として保有が過大となり昨年来の世界的信用収縮過程で保有している日本株を売却せざるを得なくなってきたのではないかと考えられます。

まあ、小泉政権の改革路線への期待で大幅な買越しを続ける段階で、先見の明のなさを裏付けるようなものだ。郵政選挙で「だまされた」としか考えられない。
実際にはもう少し外国人投資家は冷徹な目を持っているのではないか、と考えている。日本のように資源を持たない国は分厚い中間層に支えられた人材で勝負するしかない。しかし「史上最高益」に浮かれ、痛みを弱者におしつけ、教育予算も削り、国民の将来への不安を増大させ、それを「改革」と称して浮かれている国にはどう考えてもリスクがつきまとう。国民の士気の低下は著しい。治安は悪化し、「改革」を主導した人物からも「日本はもはや先進国だと思わない方がいい」などと言われる始末。格差の増大、つまり貧困層の増大は日本のように資源を持たない国にとっては大きなリスク要因なのだ。輸出主導で経済回復を行い、国民生活を破壊して、個人消費を減少させ、経済ファンダメンタルを弱体化させる。いわば数字だけの「史上最高益」、張り子の虎、それを外国人投資家は冷徹に見通していたのではなかったか。経済ファンダメンタルを立て直すことなしに、日本の経済の立て直しはない、と思えて仕方がない。