ブラジル国債が投資適格に、というニュースで思うこと

いささか旧聞に属するネタだが、「ブラジル国債が待望の投資適格に!資金流入が拡大へ!?」というのが『ダイヤモンド・マネー』誌にあった。
4月30日にスタンダード&プアーズがブラジルの長期国債の格付けを1ノッチ引き上げ、投資適格である「BBB−」とした、ということだ。ブラジルの対外債務軽減を最大に挙げた、ということで、ルーラ大統領の「財政収支の黒字化とインフラ抑制の政策が奏功した」とある。少し説明が足りないのではないか、と思われる。ルーラ大統領による政策はいわゆる「改革」路線だけではない。
ルーラ大統領は小学校も満足に通えず、働きながら小学校を修了する、という境遇であった。労働組合に加入し、左翼政治家として軍事独裁政権と戦い、労働党を立ち上げる。2002年、大統領に就任すると「飢餓ゼロ」政策を立ち上げ、貧困家庭の生活水準改善を進め、開発から取り残されていた内陸部のインフラを整備した。要するに今の日本の「改革」とは反対のことを行って、スタンダード&プアーズの格付け引き上げにこぎ着けたのである。貧困層の生活改善を行うことで内需を拡大させ、それを景気回復に結びつける、という手法は、強固な経済基盤を築くには不可欠なのではないだろうか。中国やインドの経済の好調も内需中心の経済発展であることが挙げられている。そして日本の好景気が脆弱なのは個人消費の伸び悩みに起因することを考えれば、日本のこれまでの「改革」は根本的に間違っていたのではないのだろうか、と経済の素人ながら思ってしまった。
ルーラ大統領は応援したくなった。ブラジル関係の投資信託も買おう。メドべージェフ・プーチン体制よりは、はるかに好感が持てる。コリドラスの輸出制限は困るけど(笑)。