HALTAN氏への返答

id:HALTAN氏から懇切な返答をいただいた(「http://d.hatena.ne.jp/HALTAN/20080810/p1」)。まずはお礼申し上げたい。

いえいえ、拙が「大学非常勤講師(歴史学)」(id:Wallerstein:about)の方を「プチブル反動スタ官」と「罵倒し倒」すはずがないじゃありませんか。自分の書き方も良くなかった部分があって、正確には「御自分はどこかの大学に属するアカデミシャン」→とくにテニュアの方 と注記しておくべきでしたね。自分は例えば、TV番組などによく出演しておられるような大学の先生方をイメージしておりました

少し引っかかる部分もまだあって、例えば「TV番組などによく出演しておられるような大学の先生方」と「大学非常勤講師」の間の差異は何か、とか、いろいろあるが、一応了解。
あたまがわるい」メソッドに関してはまあこちらの言いがかり的部分もあって、言い訳めいたところがあるので、HALTAN氏の言い分に了解。ケンカをふっかけたのはこちらなので、この問題についての非はすべて当方にあり、HALTAN氏は私との間の「あたまがわるい」メソッドでは何一つ責められるべき謂われはない。
と思ったが、こちらが「あたまがわるい」メソッドを使ったら(このダブスタぶりは現国3の読解力では分からん)キレるのね(「それと現国の成績が「5」だの「4」だの「3」だの、それが何?」)。自分がされてむかつくことはやらない方がいい、と思う。
「現国3」について説明すると、実際の私の中学時代の国語の成績。高校では5も3も4も取ったのでなんとも言えないが、はっきり言えば3相当だったように思う。で、これはもちろん「いまだにこういうブクマを寄越す「あたまのいい」方もおられるわけで」と現国5のhokusyu氏のブクマを援用しながら「あたまがわるい」メソッドを使うことを正当化しておられ、私自身HALTAN氏が「あたまがわるい」メソッドを使うことは仕方ないかな、とHALTAN氏の私への返答を見てHALTAN氏が「あたまがわるい」メソッドを使う事情を了解したのでこちらも「現国3」というメソッドを使ってみたまで。「あたまがわるい」メソッドを初対面でいきなり使ってきたのはそちらだ(はは・・・idにid:Wallerstein とか付けるようなマジメな人には、自分のような輩はそりゃ嫌われるだろうねえ・・・。「http://d.hatena.ne.jp/HALTAN/20080806/p1」)。自分がやっていることをやられてキレるのは、それこそ「現国3」の私には理解できない。
次にHALTAN氏の「ダブスタ」についてみていく。

現状のワーキングプア報道のほとんどが総需要問題を無視しているという限界があり、その壁を越えられない以上、何を語っても論壇やジャーナリズムで無内容に消費されていくだけというのが現実

仮にそうした報道が説く世界観なりスローガンが正しいとしても、「では、当のジャーナリズム業界はどうなのか?」については、既に足元からも問い返され始めているのが現実

というHALTAN氏の現実分析には私も同意する。
ただ例えば氏はNHKが大量の下請けを使いながらワーキングプア問題を取り上げることを批判し、それにすりよる日本共産党を批判する。そしてそれを以て「サヨク嫌い」の根拠とする。しかし一方で氏は

東京大学准教授の林香里さん(マスメディア・ジャーナリズム論)は、「個人の実力だけでは無理というのは確かにそうだ。ドイツではこうした状況は、『文化領域における構造的貧困』と呼ばれる。メディア企業がうまく搾取する仕組みができている」と話した

という記事を好意的に取り上げる。HALTAN氏がダブスタの批判を免れたいのであれば、大学における大量のワーキングプア問題を放置して、マスコミのワーキングプア問題を取り上げている大学准教授をやり玉に挙げるべきだろう。「では、そこで貴方は具体的に何をしてらっしゃるのですか?」と。なぜHALTAN氏は多くの非正規雇用を抱える大学の准教授に対して「プチブル反動スタ官」と罵倒し倒し、「では、そこで貴方は具体的に何をしてらっしゃるのですか?」と聞かないのか。なぜそれを日本共産党にだけ要求し、自ら率先垂範しないのか。これをダブスタというのだ。
私はマスコミがワーキングプア問題を取り上げることと、自分の足下にワーキングプアと抱えていることとの矛盾はありながらも、問題提起する資格がない、とは思わない。プロデューサーも大学准教授もその点は同じである。NHKのプロデューサーが自分の足下に多くのワーキングプアを抱えていて、それに心を痛めているのかいないのか、私には分からない。しかしプロデューサーにNHK内部のワーキングプア問題を解決しろ、というのは酷であるし、大学准教授に大学内のワーキングプア問題を克服することを求めるのも酷である。おのおの自分の守備範囲でできることを始めるしかない、というのが私の立場であって、マスメディア・ジャーナリズム論を専攻とする東京大学准教授がマスコミ内部のワーキングプア問題を取り上げるのはしごく当然であり、私はそれゆえ林香里氏に「では、そこで貴方は具体的に何をしてらっしゃるのですか?」などとは口が裂けても問えない。
HALTAN氏はダブスタであるだけでなく、人の言っていることを歪曲する。読解力不足による誤解であれば仕方がないが、曲解であれば非常に不誠実である。そして残念ながら氏の場合には明らかに曲解である、と判断せざるを得ない。
氏は私への返答の最後を「こうした問題すら語るなと言われれば、左派の存在意義そのものが自分のような「あたまがわるい」者には全く理解できなくなってしまうのですが」と締める。私がいつ、どこで「こうした問題をすら語るな」と言ったか、提示していただきたい。HALTAN氏の言っているのは「こうした問題」つまりマスコミ内部のワーキングプア問題であろうが、それを「語るな」と言った覚えは全くない。私は確かに「では、そこで貴方は具体的に何をしてらっしゃるのですか?」という問い自体が誤っている、とは主張している。しかしそこをどう読めばマスコミ内部のワーキングプア問題について「こうした問題すら語るなと言われれば」となるのか、それこそ「現国3」の「あたまがわるい」私には皆目検討がつかない。
HALTAN氏は少なくともネット上においては人を怒らせるツボを非常によく心得ていらっしゃる。Apeman氏との論争にしても、私だったら「fuku33氏もhokusyu氏もApeman氏も『軽率』でした。私もその辺をあまり考えずに「見世物」とか「軽率」とかを混ぜて使っていました」と逃げる。そこを意地張ってfuku33氏とApeman氏・hokusyu氏との差異をあれこれ論じるからからまれる。当初からまれているHALTAN氏を気の毒だな、と思っていたのだが、実際にからんでみて、Apeman氏やhokusyu氏が粘着するHALTAN氏を批判し続ける(hokusyuさんの申し入れを考慮して言葉を変更)理由が少し分かった。私も申し訳ないが、粘着してしまっている。これで終わりにしようと思うのだが、反論すべき論点が次から次へと出てくる。
具体的に列挙しよう。
(1)人の論の歪曲(「では、そこで貴方は具体的に何をしてらっしゃるのですか?」という問いを「こうした問題をすら語るな」と歪曲する)http://d.hatena.ne.jp/HALTAN/20080810/p1
(2)ダブスタ(NHKプロデューサーに「では、そこで貴方は具体的に何をしてらっしゃるのですか?」と言わない日本共産党には失望するhttp://d.hatena.ne.jp/HALTAN/20080806/p1が、東京大学准教授に「では、そこで貴方は具体的に何をしてらっしゃるのですか?」と言わない出版労連には失望しない[http://d.hatena.ne.jp/HALTAN/20080810/p1:title]。そもそも出版労連サヨクではないのか。氏のサヨク嫌いには何の根拠もない)
(3)だんまり(自身のサヨク嫌いの根拠となっている「階級闘争史観」についてはどうなったか)
(4)逆ギレ(自分は「あたまがわるい」メソッドを使うが、人が使ったら「それが何?」[http://d.hatena.ne.jp/HALTAN/20080810/p1:title])追記 これについては氏がツッコミを入れただけかもしれない。「それが何?(笑)」とか「それが何?(゜▽゜)\(−−;)ソゥソゥ・・・って、おいっっ!」位書いといてくれればこちらも逆ギレとは思わなかったのにってWallerstein→ポカッ!(._+ )☆ヾ( ̄ヘ ̄; ) ォィォィ←HALTAN。
(5)為にする議論(わら人形論法の方が正確か)(「仮に(1)が正しいとして、その論理の貫徹が不徹底ではないか」http://d.hatena.ne.jp/HALTAN/20080806/p1というが、そもそも(1)つまり「階級闘争史観で何でも説明できる」と思っているサヨクはほとんどいないと思う。HALTAN氏はその実例を提示したうえで、そのサヨクを批判すべきである。それならば傾聴に値する。そのようなブサヨは私も嫌いだからだ。)
とりあえず。
追記
てか、オレは何をしてんだろうな、と少し思ってしまった。書くべきことはいっぱいある、はずだ。id:ruletheworld氏のブクマタグは正しい。
そもそも私はHALTAN氏に何をしてほしいんだか、と言えば、別に何もないはずだ。私から粘着したのであって、どう考えてもHALTAN氏は私との関係において言えば被害者以外の何ものでもない。そもそもはHALTAN氏が「サヨク嫌い」の理由として挙げている「階級闘争史観」の概念がおかしいな、というのがあって、もう少し言い様あるだろうにな、と思って「「階級概念が分かっていない」とケチをつけた。それで例えば「ああ、なるほど。私はもっといいかげんな概念で、金持ちと労働者という二項対立的な意味で使っています。また勉強しますね。コメントありがとうございます」ときわめて儀礼的というか表面的に真心も何もこもっていない定型句ででも返されれば、多分私もあっさり引き下がったような気がする。そして実際HALTAN氏はおそらくそのようなことを言いたかったはずなのだ。しかしHALTAN氏はもう少し自己の主張をこめた。これは別に批判される謂われは全くない。むしろケチをブクマでつけてきた失礼なヤツに対する返答としては真摯なものであったはずだ。だから私ももう少し生産的な議論をするように持っていければよかったのかな、という気もしている。
まあ一連の動きを通じて、いろいろな出会いができたことに感謝しよう。というわけで、きっかけをつくってくださったHALTAN氏には多謝。ただ私の言い分はそれほど間違っているとは思っていないし、後悔はしていない(笑)。