弘長二年「関東新制条々」2 追加法338

しばらくこれにかかりっきりになる。現政権が奇跡の浮揚を遂げようが、はたまた政権交替に至ろうが、このブログでは今後一ヶ月以上は「関東新制条々」61条の検討にブログでは専念したい。
第二条も神事の問題。『御成敗式目』では一条が神事、第二条が仏事だが、「関東新制条々」では神事だけで7条まであり、仏事だけで4条になる。
二条の本文。

一 可令有封社司修造本社事
有封社者、任代々符、小破之時且修理、若及大破言上子細者、隨其左右可有其沙汰之由、被定置畢。而近年社司恣貪神領之利潤、不顧社壇之破損匪啻不恐神慮、専可謂忘公平。自今以後、於背此法者、可被改補其職。

読み下し。

一 有封の社司に本社を修造せしむべき事
A 有封の社は、代々符に任せ、小破の時かつがつ修理を加え、もし大破に及び、子細を言上せば、その左右に隨い、その沙汰あるべきの由、定め置かれおわんぬ。
B しかるに近年社司ほしいままに神領の利潤を貪り、社壇の破損を顧みず、ただに神慮を恐れずにあらず、専ら公平を忘れると謂うべし。
C 自今以後、此の法に背くにおいては、其の職を改め補すべし。

Aでは「有封の社」つまり国衙で認められた社領を持つ規模の神社に関しては、太政官符に定められたように、小破のときにはその時に合わせた修理を行い、大破しておれば幕府の指示に従って修理せよ、と定められていることが記されている。ここまでは御成敗式目第一条とほぼ同じであり、式目の確認である。
Bでは現状認識が述べられている。近年は社司が神領の利潤をむさぼっていることが問題視されている。
Cではこの法に背くものは解任することが述べられている。
「関東新制条々」の第一条・第二条は『御成敗式目』の第一条とほぼ重なる。