「関東新制条々」3 追加法339
神仏関係の史料。
本文
一 可令停止神人加増濫行
神人者常陪社頭、可従神役。而散在国々以好梟悪、充満所々以致狼藉。自由之企、甚背物宜。早於新加神人者、削其名以隨停止。至本補神人者、忌事以可勤職掌。
読み下し
一 神人の加増濫行を停止せしむべし
A 神人は常に社頭に陪し、神役に従うべし。
B しかるに国々に散在し以て梟悪を好み、所々に充満して以て狼藉を致す。自由の企み、甚だ物宜に背く。
C 早く新加の神人においては、その名を削り停止に隨うべし。本補の神人に至りては、忌事を以て職掌を勤むべし。
神人とは下級の神職のことである。神社に属する本社神人と諸国の神領にいた散在神人がいたが、ここで問題になっているのは神領の管理に当たっていた散在神人である。神人が増加して様々な問題を起こしていることに対して何らかの対処を施すことが必要だったのだ。
Aでは神人の本来の業務が示されている。
Bでは現状分析。散在神人の存在が問題視されている。神人はしばしば神社の暴力装置として機能した。神人による強制力の行使を規制する必要に迫られていたのである。幕府の神人に対する姿勢は山僧の寄沙汰への規制と同じものである。いずれにせよ強者が自分の権益を最優先にして行動することへの規制である。
Cでは規制策が出されている。新たな神人の増加を禁止し、もとからいる神人の職掌を限定して、少なくとも暴力装置として機能させないように規制しているのである。