「関東新制条々」4〜7条、追加法340〜343(1月25日修正)

神事関係の御家人への禁止規定。八幡宮関係の神事と二所参詣、つまり箱根神社伊豆山神社参詣への隨兵の規定。鎌倉幕府の行事として鶴岡八幡宮と二所参詣が将軍の年中行事としてあった。

一 放生会的立役事
一 同居隨兵役事
一 若宮流鏑馬役事
一 二所御参詣隨兵役事
以前条々、就巡役被催促之時、充課彼用途於百姓之由、有其聞。於自今以後者、永停止其儀、以地頭得分、可令勤仕之旨、偏可相触御家人等之由、可被仰侍所奉行人也。

読み下し

一 放生会の的立て役の事
一 同じく居随兵役の事
一 若宮流鏑馬役の事
一 二所御参詣の隨兵役の事
A 以前の条々、巡役につき催促せらるの時、彼の用途を百姓に充て課すのよし、その聞こえあり。
B 自今以後に於ては、永く其の儀を停止し、地頭の得分を以て勤仕すべきの旨、偏に御家人などに相触れるべきの由、侍所奉行人に仰せらるべきなり。

法の意味するところは単純である。
Aにおいては二所参詣神事に際して課せられる御家人役の負担を百姓への年貢に転嫁することが横行していることが指摘される。
Bにおいてそのことを禁止し、地頭の得分から出させるように命じている。
要するに決められた年貢の他に二所参詣神事のためだとして臨時に増税を行なうことが禁止されていたのである。収入が減ったり、支出が増えたりして財政が苦しくなると安易に増税に踏み切ることを戒め、あくまでも御家人つまり権力の支出抑制で賄うように命じた法令である。