草なぎメンバー事件にみる「警察国家」化への懸念

今回ビールや焼酎を風邪薬と一緒ではなくごっくんして、女性記者の目の前でパンツ一丁ではなく、公園で全裸になったことで警察に逮捕されるのみならず、家宅捜索まで受けた草なぎ剛メンバーの事件について、警察の行き過ぎが一部批判されている。石原慎太郎東京都知事は「いろいろフラストレーション(欲求不満)があったんだろうね。裸になりたい気持ち、分からないでもないな、オレは…」「ちょっと騒ぎすぎじゃないか!?」(サンスポの記事)、橋下徹大阪府知事は「ほめられた行為ではないが、僕なんか知事になる以前に山ほどやっている。CM会社や住民に謝れば問題ない。許された行為ではないが、かわいそうで仕方がない」(朝日新聞の記事)鳩山由紀夫民主党幹事長は「大変残念な事件だが、捜索までやる話なのか。最近の警察、検挙の捜査には若干の違和感を禁じ得ない」(サンスポの記事)と私の好きではない人の発言三連発。
警察が何かにかこつけて捜索をやるのは褒められた行為ではないが、自らの権限を増大して発言力を増そうと言う官僚組織に通有の動きである。警察は「常習性の有無」という言い方でぼかしているが、警察には「もし薬物が出たら大手柄だ」という気持ちがあっただろう。問題は暴走する組織にブレーキがかけられるか、ということだ。
今回の事例で言えば家宅捜索は明らかに行き過ぎである、と思われる事案である。警察は表向きは「常習性の有無」を確かめるため、としているが、本当の狙いは別件での捜索を目論んでいた可能性は極めて高い。家宅捜索には裁判所が発行する令状が必要である。裁判所が令状をあっさり発行したのは極めて問題である、と考える。行政へのチェック機能を果たすべき司法のチェックが機能していないことがこの一件から透けて見える。いわゆる行政国家の一つの歪みが現れた一件である。
憲法35条を見直したら次のようにあった。恥ずかしい。

何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第33条の場合を除いては、正当な理由に基づいて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。
捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。

つまり草なぎメンバーは第33条の「現行犯として逮捕される場合」に該当するので、裁判所の令状は必要ない。逮捕が公然わいせつだったので「常習性を確かめる」ために家宅捜索を行う場合は裁判所の令状は必要なく、現場の暴走にブレーキをかけることはできない、ということだ。いわゆる別件逮捕に近い案件である。
警察サイドには言い分もあるだろう。しかし本当に「常習性」云々であれば、明らかに行き過ぎであるし、「大麻」云々であれば、明らかに別件逮捕であり、司法からのブレーキを逃れようとする、暴走と形容していい案件である。
追記
勝谷誠彦氏が警察批判を読売テレビあさパラ!」で警察・検察が自分の思ったように動いている、と批判していた。井上公造氏が鳩山邦夫氏の発言について「自分の同僚が国際会議」云々を問題にしていた。さらに井上氏が選挙をにらんでいるのではないか、ということをみていた。SMAPのファン層が20代以降が多いので選挙権を持っているので顔色を窺っているのであろう、という見通しを述べた。あといろいろ面白いことを言っていたが、追っかけられない。