5月22日セ・パ交流戦、阪神−オリックス一回戦(京セラドーム大阪)

阪神3−8オリックス
昨日みてきた観戦記。一言で言えばクソゲー。ポイントは一つ。
7回表、金本知憲選手の本塁打で二点差に追い上げ、さらに新井貴浩選手、桜井広大選手の連続安打で無私一三塁。打順は指名打者林威助選手。ここで真弓明信監督が動く。代打今岡誠選手。今岡選手はあっさり併殺打。今岡選手の併殺打の間に一点は入ったものの、二死走者無しとなってチャンスは潰えた。その裏に渡辺亮投手が打ち込まれ、さらに江草仁貴投手も打たれて、結果からみれば惨敗。
各紙の論調には大きな差が出ている。
一番辛辣なのはサンケイスポーツ。「真弓監督自爆行為」という見出しで、以下も林選手の左右投手別打率を出して、真弓監督の采配ミスを強調した紙面。サンスポは真弓下ろしの世論を喚起すべく動き出した、と考えていいだろう。
一番言及が少ないのは日刊スポーツ。この場面はウェブ上ではスルー。渡辺投手の乱調をもっぱら取り上げていた。
スポーツ報知もほぼ同じ論調。
スポーツニッポンは「真弓監督『采配裏目』」と采配ミスよりも裏目に出ている、という取り上げ方。
デイリーは見出しでは「真弓監督、口調も弱く」とあり、やはり采配が裏目に出ている、と采配批判にまではまだ踏み込んでいない。
私見を言えばサンスポは結果論で書いている、としか思えない。おそらく真弓下ろしありきで書いているのだろう。サンスポにしては珍しい筆致だ。野村克也監督の時には他のマスコミに比べれば野村下ろしには加担しなかった、というイメージがある(一番熱心だったのはスポニチ)。
私見を書く。
7回まで好投していたのは金子千尋投手。緩急を上手くつけた投球で阪神打線につけ入る隙を与えなかった。7回、先頭打者の金本選手に本塁打を打たれ、リズムが狂ったのか、連打を浴びてピンチを作った所で左腕の清水章夫投手に交替。清水投手は左の変則投法の投手で、左打者からすればかなり背中のほうから球がやってくる感じの投手。従って今期一回も左打者から安打を打っていない林選手には厳しい勝負となる。ここで采配ミスを論う論法では、林選手が併殺になれば「なぜ右の今岡選手を使わなかったのか」と批判するのは明らかである。要するに結論ありきで、真弓下ろしが目的化しているために、どう転ぼうが結果論で批判することしか考えていない。
真弓監督を批判したければ、むしろなぜまだ今岡選手を代打の切り札として置いているのか、を問うべきだろう。左打者で、まだ今期左投手との対戦をしていない林選手をいきなり変則左腕とぶつければ、逆に打撃を崩す可能性もある。ここは右打者に打たせるのがセオリーで、それを無視するには無視するだけの根拠がなければならない。その根拠が昨年の対左の成績である、というのは根拠が薄弱である。というのは昨シーズンは対左打率.299を挙げているが、そもそも肩や膝を故障して十分に活躍できなかったシーズンの成績を根拠とするのはいかにもこじつけでしかない。サンスポしかその采配ミスを論っていないことからも、かなりの無理筋であることがうかがえる。
問題は右の代打が今岡選手しかいないことである。なぜ高橋光信選手を上げないのか。そこが最も問われるべきだろう。これは逆に誰も言わない。故障という話も聞かないが、故障でもないのに上がってこないのはやはり不思議である。これはタブーなのだろうか。