新井貴浩選手激怒

まずはサンスポのこの記事(「http://www.sanspo.com/baseball/news/090804/bsb0908040504007-n2.htm」)。

いよいよ始まる夏のロード。上昇ムードの虎とともに、近畿地方でもようやく梅雨が明けたが、カミナリが落ちていた。竜倒への思いを胸に秘め、新井と金本が名古屋入り。長き旅路の前にアニキが、悩める弟分に“説教”を食らわしていた。

 「実は…金本と一緒に、新井に注意したんです。『もっとキチッとした(打撃)状態にしろ』って。前半戦は金本は新井にひとつも怒らなかったらしい。私自身も忙しく、放っておいたんです。そしたら、案の定、ダメだったでしょ。新井は気力が足りない」

  “AK”の恩師である池口法主がマル秘エピソードを激白した。ロードを前に、西宮市内のホテルであった出来事。ここまで88試合で打率.215、10本塁打、43打点。鉄人があえて何も言わなかった理由を「そろそろ自覚が出てきてほしいと期待していたのかな」と分析。打順降格、スタメン落ちの危機ありと、さすがに我慢ができなくなったというわけだ。

 「気の出し方も新井に伝えましたし、必ずやってくれますよ。具体的なこと? それは“企業秘密”ですがね(笑)」

 悩める長距離砲にとって何よりも効く薬だった。実際、A砲は後半戦に入ってから6試合で5打点と勝負どころでの一撃が目立つようになった。だからこそ、法主は主砲にも“矛先”を向けた。

 「金本はチョット、目が疲れているかな。でも、『調子を取り戻すためにも、もっともっと新井を怒れ』と言いたいね。やっぱり怒ったら、気力が出てくるでしょう」

 1試合3発を2度マークするなど開幕直後は神様的な存在だった4番も、巨人3連戦ノーヒットで打率.262と元気がない。頭に血がのぼれば元気百倍!? 新井をさらに“イジメて”、相乗効果に期待したい考えだ。

 過去10年で負け越し7度の夏のロード。ただでさえ、今季のビジターは11勝25敗3分けと苦しんでいる。「これからは、ことある度に連絡をとって、叱ろうと思っている」。池口法主が舌なめずりする。新井&金本の完全復活なくして、チームの上昇なし。次に甲子園に帰るのは、28日の巨人戦。聖地での頼もしい姿を、虎党は待っている。(阿部祐亮)

それに対して新井選手が激怒(「http://kanemoto-arai.com/vs_blog.html」)。

金本さんと僕は毎年オフに鹿児島で護摩行を行うのですが、今回は、その護摩行の師匠(先生)に電話取材をして記事が書かれています。その中の一部を抜粋すると、こうです。

「金本が新井に我慢ができなくなって説教を食らわせた」。

「元気のない金本も、新井を怒って頭に血がのぼれば元気百倍」。

「金本は、新井をさらにイジメて相乗効果に期待したい考え」。

護摩行の先生がこれからは新井を叱っていこうと、舌なめずりしている」など…。

くだらなくて怒る気にもなれませんが、どれひとつ事実ではありません。

報じられた側の僕や金本さんからすれば、バカにされたとしか思えない内容です。
記事の中身もそうですが、ある約束を破られたことに対しても、怒りが込み上げています。

去年、北京五輪のあたりから(これも今回と同じ新聞社なんですが)鹿児島の先生への電話取材で記事を書かれることが非常に多くなりました。
先生もお忙しい方ですし、僕のことで何かある度に電話をされると、口ではおっしゃらなくても、やはり迷惑を掛けることにもなりますから、ある日、僕は各社新聞記者の方に「今後は先生への電話取材は控えて欲しい。何かあれば直接僕に取材をしてください」とお願いしたんです。

僕の意向は理解してもらえて、記者の方々も快く了解してくれました。

なのに、今回、その約束がこのような形で破られてしまいました。昨日、この記事を書いた記者本人に確認をすると、その約束は承知していたと言いました。

当たり前ですが、この新聞社との信頼関係はそこで終わってしまいますよね。

選手と記者とは、(すべてとは言いませんが)持ちつ持たれつの関係だと思います。報道によってファンとの架け橋になってくれるのも記者ですし、僕ら選手も、(シーズン中や、オフのトレーニング、企画など)球団と相談しながら取材に協力する姿勢を持っています。

金本さんが今、新聞社マスコミに対して、なぜコメントをされなくなったのか、ご存じでしょうか。

金本さんは広島時代からもそうであったように、元々、サービス精神が旺盛で、取材には、かなり協力的な方でした。それは、何より、マスコミの向こう側には、多くのファンが存在しているからこそです。

優勝争いをしている昨年の9月、試合後に取材を受けた金本さんは記者の質問に応えましたが、翌日の一部新聞で、金本さんが全く意図しないネガティブなコメントとして、信じられないような報じられ方をしていました。僕ら選手はすぐに、金本さんがこんなことを言う人じゃないと判断できますが、事情を何も知らない人が読んだら、どう思いますか。

タイガースを取り巻く報道の数は、12球団一と言われています。
金本さんは阪神移籍後、「こんなこと言ってないのに」というようなことが報じられていたり、事実と違った報道がされたりしても、「ある程度は仕方ないのかな」と、目を瞑ってこられました。

過去に、記者と交わした信頼関係が裏切られて、一時取材拒否をされた時期もありましたが、それも、やはり最後はファンのことを考えた上で、解除された経緯があります。

しかし、昨年9月になされた誤報の一件は、さすがにもう「許せない」となり、今日に至っています。
当然だと思います。

タイガースは日本一の人気球団です。そのチームを報じるマスコミは、そのファンの数だけ影響力があり、また、それだけ報道内容に重大な責任がかかることは言うまでもありません。

「新聞さえ売れればいい」という利己的な姿勢や、「読者に受けるなら、多少事実と離れた脚色があっても問題ないだろう」と言ったモラルのない報道は、許されるものではありません。

僕たち選手も生身の人間です。
家族もあります。
面白ければそれでいいというような軽率な発想がどれだけの人間を傷つけることになるのかということも、考えて欲しい。

一応備忘録として。