JR尼崎事故の調査委員会の記事。

これはひどい、としかいいようがない。事故調査委員会といえば「中立的」な機関で、信頼が置ける、と聞いたことがある。今はSNSに移行してしまったが、私がこの事件についていろいろ学んだブログである。ブログ主は極めて右翼的な思想の持ち主で、自身も「民族派新右翼」と自称していた。こういう風に自称する人はいかに偏向していても信頼するにたる、というのが私の意見で、一番信用なら無いのは「自称中道」「妖怪どっちもどっち」である、と考えている。だから私はそのブログ主の、こと鉄道に関する記事は信用を置いていた。何しろこの人は「民族派新右翼」である以前に鉄道車両メーカーの社員なのだ。私のような文系の鉄道ヲタからすれば憧れるしかないではないか。少しくらい安倍晋三氏を褒め倒そうが、麻生太郎氏を応援しようが、そんなことはささいなことだ。そのブログ主はJRに対しては批判的であった。労組も悪いかもしれないが、何よりも労組対策に熱心になあまり、人材の年齢構成がいびつになっていることに危惧を表明していた。思想的には労組とは全く相いれないであろうが、こういう公平な視点は「どっちもどっち」「自称中立」とは一線を画している。「自称中立」という自身の立場や知識に対する省察もない立場と、こういう専門性に立ち、なおかつ自身の思想的偏りを自覚しての「公平」な視点とは峻別されなくてはならない。
その人はJRに対しては批判的な視座を持ちながらも感情的なJR批判にはこれまた距離をとっていた。特に当時マスコミで垂れ流された扇情的なJR批判には却って事故の本質を見失う、と警告を発していた。その中の文脈で事故調査委員会の見解を待とう、という呼びかけをしていたのである。
事故調査委員会というのはそれだけの権威を持ち、それに伴う責任を有しているはずのものである。これがJRとなれ合っていてはいけないだろう。

 兵庫県尼崎市で05年4月に発生したJR福知山線脱線事故で、運輸安全委員会は25日、事故原因を調査した当時の航空・鉄道事故調査委員会(08年10月に運輸安全委に改組)の山口浩一・元委員(71)が、JR西日本山崎正夫前社長に働きかけられ、調査状況の情報や報告書案を伝えていたと発表した。山口元委員は事故調で報告書案の修正を求める発言をしたが、報告書への影響はなかったという。事故調査委員会設置法では、委員の秘密保持義務があるが、罰則規定がなく、処分対象にはならない。
 安全委などによると、山口元委員は06年5月以降、山崎前社長に面会するなどして、委員会の進ちょく状況を教えた。さらに、報告書が07年6月に公表される直前の07年4〜5月ごろ、報告書案のコピーを1、2回、山崎前社長に渡した。
 また、山崎前社長が報告書について「後出しじゃんけんであり、表現を柔らかくするか削除してほしい」と要求。山口元委員はそれに応じ、委員会で「現場カーブにATS(自動列車停止装置)があれば事故は回避できた」などとの記述を「後出しじゃんけんなのでいかがなものか」と発言していた。関係者によると、山崎前社長は山口元委員への飲食接待もしていたという。今回の漏えいは、事故に関する捜査で発覚。捜査当局が安全委に連絡したという。
 前原誠司国土交通相は25日の閣議後会見で「亡くなった方々やご遺族に心からおわびを申し上げる」と謝罪。運輸安全委の後藤昇弘委員長は「国民のみなさま、被害に遭われた方々に不快の念を与え、残念で申し訳ない。おわび申し上げる」と陳謝した。
 事故では乗客106人と運転士が死亡。事故調は07年6月、運転士がブレーキ操作を誤り、制限速度を約46キロ超過して現場カーブに進入したことが原因とする最終報告書を国交相に提出した。現場カーブにATSが設置されていれば、事故は回避できたと結論付け、「優先的に整備すべきだった」と指摘。運転士への懲罰的な日勤教育など、JR西の企業体質が事故に影響した可能性が高いとも指摘していた。
 山崎前社長は事故現場を現在の急カーブに付け替えた当時、安全対策全般を統括する常務鉄道本部長だったとして神戸地検が今年7月、業務上過失致死傷罪で神戸地裁に在宅起訴している。山崎前社長は06年2月、社長に就任し、起訴を受けて今年8月、社長を辞任した。一方、山口元委員は1961年、国鉄に入社。主に運転畑を歩み、01年に非常勤の事故調委員に任命され、07年まで務めた。
 安全委は情報漏えいを受け、委員などが原因に関係する恐れのある人とかかわりがある場合、委員会の会議へ参加停止できるなどの申し合わせをした。【平井桂月、長谷川豊、石原聖】
 ▽山崎正夫前社長の話 航空・鉄道事故調査委員会の調査に全面的に協力する中で、調査状況を把握し、迅速に対応するとの思いから報告書案などを事前にもらった。軽率で不適切な行為であったと反省しており、申し訳なく思っている。
http://www.excite.co.jp/News/society/20090925/20090925E40.069.html

乗客106人が犠牲となった2005年4月の福知山線脱線事故で、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(当時、現運輸安全委員会)の山口浩一・元委員が、 JR西日本山崎正夫前社長(業務上過失致死傷罪で在宅起訴)の求めに応じ、事故調査や捜査で焦点となった「自動列車停止装置(ATS)があれば事故を防げた」という文言を報告書から削除するよう委員会審議の中で要請していたことが25日、分かった。
 山口元委員は、山崎前社長側から飲食接待を受け、新幹線の模型などの手土産も受け取っていたほか、調査状況や報告書案も同社側に漏らしていた。
 元委員は旧国鉄出身で、01年10月から、事故の調査報告書が公表された後の07年9月まで事故調委員を務めていた。
 安全委によると、元委員は2006年5月以降、5回程度、前社長から接触を受け「ATSに関する部分は『後出しじゃんけん』なので、表現を和らげるか、削除してほしい」と要請を受けた。元委員はこれに応じ、07年6月11日の委員懇談会で、ATSに関する部分の修正を求めたが、報告書案は変更されることなく、同月22日に議決、28日に公表された。
 元委員は、前社長と会う際、都内ホテルの喫茶店などで飲食接待を受け、菓子や500系新幹線の模型などの手土産を受け取っていたという。 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090925-00000043-jij-soci