橋下徹知事の基地問題に関する発言

私は橋下徹知事が大嫌いである。どれくらい嫌いかといえば、テレビで橋下知事の顔が出てきた瞬間チャンネルを変える。それくらい嫌いであるから、このブログでは橋下知事になるべく言及しないようにしている。感情的な非難に終始して、全く説得性のない議論を展開するのは目に見えているからである。だから私が橋下知事を取り上げるときには決してけなさない。むしろ極めて稀な賛同の意を表すとき以外は取り上げることはない。
そして今回の発言には久々に橋下知事を取り上げようという気になった。

昨年11月に関西国際空港で受け入れる可能性に言及していた大阪府橋下徹知事は13日夕、記者団に「やっと本気で国全体が動いてくる」と歓迎の意向を表明。米軍基地のない地域が負担を受け入れるべきだとして「優先順位が一番高いのは関西」と断言、「おねだり集団から分権時代の知事会になれるかの試金石。回答を出さないなら知事会は解散」と強調した。(毎日新聞

鳩山由紀夫首相が沖縄県の米軍・普天間飛行場移設問題に関連し、全国知事会の開催を全国知事会長の麻生渡福岡県知事に求めたことについて、大阪府橋下徹知事は13日、「首相から受け入れ要請があれば、優先順位が一番高いのは関西だ」と述べた。橋下知事は、27日にも開催される知事会に出席する意向。
橋下知事は「(沖縄)県民のことを考えれば、早くものごとが動き出すことが重要だ」と指摘。そのうえで、「首相から与えられた課題に答えが出せないなら知事会は解散だ」と強調した。
また、「安全保障の問題もあるが、今、基地を受け入れていないところが受け入れるべきだ」との考えを示し、「首相から要請があれば優先順位が一番高いのは関西。関西で答えを出さないといけない」と述べた。(産経新聞

沖縄県の米軍普天間飛行場の機能や訓練の分散移転に向け、鳩山首相全国知事会に協力を求める意向を示したことを巡り、大阪府橋下徹知事は13日、「受け入れの優先順位が高いのは、米軍基地のない地域。一番高いのは関西だ。政府から要請があれば、関西で回答を出さないといけない」と述べ、関西での受け入れを検討すべきだとの考えを示した。
6月の近畿ブロック知事会議でも問題提起するという。
橋下知事はこれまでも、沖縄の負担を全国で分かち合うべきだとして、負担軽減策を全国知事会の場で協議するよう主張。
地元・関西空港への一部機能の移転に関しても、「国から提案があれば、議論は拒否しない」などと発言していた。
この日、府庁で報道各社の取材に応じた橋下知事は「おねだり集団だった知事会が、国と対等な関係になれるかの試金石。(沖縄以外の地域で受け入れるという)回答を出さなきゃ、知事会は解散だ」と話した。(読売新聞)

私はサヨクなので、米軍基地は国外移設、日米軍事同盟を見直さなければならない、という「御花畑」思考を持っているが、自分でもあまり現実的ではない議論だな、という自覚はないでもない。ただいくつか動き出していることは事実で、橋下知事のこの発言などは、一つの動きとして考えることは出来るだろう。沖縄県の負担軽減ということについて、本土も真剣に引き受けなければならない時期にさしかかっている。
朝日新聞の本日付けの記事も合わせて。

「沖縄に基地を移すことは絶対に不可能です。本土で何度でも説明会を開き、基地を受け入れてもらえるように理解を得て下さい」
鳩山首相は沖縄に期待を抱かせた。沖縄の人がかわいそうだ〉ー本土メディアで目立つそんな論調に、国政さんは違和感を抱いている。
「私は今も鳩山さんには期待しています。県外移設を引き受けようとしない、痛みを受け止めようとしない本土の日本人に、がっかりさせられているんです」

これは米軍基地が必要だ、と言っている人々だけに向けられているのではない。米軍の日本撤退、日本国内に基地を造らせてはならない、と基地を拒否する左派にも当然向けられている批判である。

自民党政権も本土メディアも世論も一向にこの問題に見向きもしてこなかった(中略)自分たちのこれまでの無関心などなかったかのように一斉に政権批判をしている〉
(中略)沖繩タイムスの長元朝論説委員は1面にこんな署名記事を書いた。
〈投書を読んでいると、いらだちやワジワジーといった感情のうねりが社会全体を覆い尽くしているような印象さえ抱く〉

「ワジワジー」は、基地で恩恵を受けているはずの人々にも及ぶ。県民大会には沖縄県建設業協会も参加した。
「振興策という札束でほおとなでるようなやり方はもう受け入れられない」と会長の呉屋守将さんは語る
「基地のメリットもあるでしょう」「基地なしでやっていけるのですか」(中略)
「メリットがあるというなら本土で基地を受け入れればいい」
保守・革新を問わず、自治体首長も同じ思いを抱える。
「これ以上新しい基地ができることは限度を超えている。沖繩に対する差別でもあるのではないか」。稲嶺進名護市長は、今月4日に同市を訪れた鳩山首相に「差別」という言葉を投げつけた。
「抑止力のために必要なら国民全体で考えるべきで、沖繩だけに押しつけているのは差別じゃないか」
自民党県連の幹事長を務めた経験があり、自民政権下では現行案を支えてきた翁長雄志那覇市長も、全国市長会基地問題について話し合っても理解がまったく得られないことにいら立ちを感じてきた。「戦後日本の安全保障は沖繩が担ってきた。それなのに、本土は愛情がない」
今、沖繩で「差別」という言葉が浮上しているのは「戦後65年間の集積」だと新崎盛暉沖縄大名誉教授は考えている。日米安保体制は沖繩を踏み台にしなければ成り立たないという意味で、戦後日本には「構造的沖繩差別」があった、と説いてきた。
「差別というとすぐ、感情的反発だというすり替えの議論が起きるが、それこそが差別意識だ。今は65年間の構造的沖繩差別を切り崩す好機であり、沖繩はもう後戻りできない。新たな歴史の節目になることは間違いない」

徳之島で起きている事態を考えても、今後日本各地に基地を移転する話が出てきても多くは反対するだろう。そしてマスコミも世論も基地受け入れ反対闘争を支援するだろう。これは行き着くところ、日本国民は米海兵隊基地は不要だ、と考えていることを白日の下に晒すことになる。そのとき、を我々は覚悟しなければならないだろう。
橋下知事の発言は、その一つの覚悟を迫っているように思う。「痛みを受け止めようとしない日本人に、がっかりさせられているんです」この発言は重い。そしてこの発言は私のような「御花畑」にこそ向けられているのだろう。
そう言えばあるアクアリストネトウヨ(失礼)が数年前に次のようなことを書いていた。
「○○県が在沖縄米軍の訓練を受け入れることを表明した。サヨクどもは反対するだろうが、僕は賛成する。日本の安全保障の問題は沖繩だけに押し付けていい問題ではない。サヨクどもは口を開けば沖繩の人々の気持ち、と言っているが、云々」
うーむ。耳が痛い。