刑法208条

この記事への反応。「(ヘイトクライムをブログで告白した役者 - Volare! Oh, oh!!)」。ヘイトクライムに対して「被害届なしでも立件は出来るんでしょうか。」という問いへの私なりの返答。
刑法208条。

暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役もしくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

刑法208条に関する主要判例

暴行とは、人に身体に対する一切の不法な攻撃方法をいい、傷害の結果を惹起すべきものであることを要しないから、その衣服を引っ張ったりして乗車を妨げる行為も暴行に当たる。(大判昭8・4・15)

吉野家で丼を投げつけ、びんたをする行為は刑法208条に定めるところの暴行罪に相当する。もちろん暴行罪は親告罪ではないので、被害届なしでも立件できる。
刑法204条も参考までに。

人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

判例

傷害とは、他人の身体に対する暴行によりその生活機能に障害を与えることをいい、暴行により胸部に疼痛を生ぜしめることはこれに当たる。(最決昭32・4・23)

「一発ビンタ入れて今し方出てきたけどさ」は暴行罪は成立するだろうが、傷害罪も成立する可能性が高い。脅迫罪はおそらく成立しないので残念ながら「三点盛」にはならないだろう。もちろん親告罪ではないので、「被害届なしでも立件は出来る」。
もちろん問題は「ネタか否か」という問題ではない。「押して、押して、押し倒されろ! - FC2 BLOG パスワード認証」の以下の言葉は大切だ。

このヘイトクライムをこのように武勇伝としてブログに書くことが許され、「さすが!」という賞賛するようなコメントすらついてしまっているような状況が存在している事実。これをホモフォビックと呼ばずしてなんと呼ぶのか。差別やホモフォビアは、「ゲイを殺したい/殴りたい」という形のみで現れるのではない。明らかな差別的言説を「ネタ」であるからと放置し、許容すること自体が立派な差別なのだ。

その意味でアメブロの人権意識は問われなければならない。
追記
結局削除したが、「臭い物に蓋」という解決策。その記事を削除すればいい、というものではない。「昼からゲイはないよマジ」「生理的に受け付けない奴が目の前で飯食ってるとか罰ゲームじゃない?」という発言が、他ならぬアメブロのスタッフの管理下にあるブログでなされた事実は重い。瓜田純士氏の問題はさておき、最も批判されるべきはアメブロの管理スタッフだろう。そして今回そのエントリだけを削除する、という表面的な弥縫策に走ったことは、アメブロの人権意識の低さをさらに露呈したにすぎない。
参考(「http://www35.atwiki.jp/urita/pages/1.html」)