第八話

南部康雄衆議院議員事務所に亀有公園前派出所より連絡が入った。事務所職員が現行犯逮捕された、というのだ。逮捕された職員は黙秘しているというが、持っていた名刺から連絡がついた。「す、すぐに先生に連絡を」対応に追われる事務所。
一方金丸産業東京支社で待つ荒岩のところにも、種ヶ島を尾行していた南部事務所職員逮捕の連絡が入った。
「なるほど、夢子君を尾行ていたのは南部議員関係者か」というと荒岩はすぐに南部議員について調べはじめた。「なるほど、古代官房長官の側近、萩本ファンドの萩本欽一代表の後輩、ITに詳しく、IT業界と古代官房長官を結ぶ役割を果たしていた・・・。もしかしたら活力門投資事業組合にも関係していたかも知れないな」荒岩は直ちに東山常務に連絡をとった。
東名高速を走る黒塗りの車。東山徹思常務の専用車である。運転士と東山、夢子が乗っていた。「東山じゃ。今東名高速を走っておる。どうした。何?!南部議員の関係者だと?!わかった。手はず通り元輝君を連れて大阪支社に向かってくれ。大阪支社で落ち合おう」
いったん荒岩との電話を切ると大阪支社に電話をかけた。「東山じゃ。村山君か。わしの顔を見たらたこ焼きを思い出すというあの・・・。まあよい。少し予定が変わった。深夜東京に向かう夜行を取ってくれ。サンライズ出雲でもサンライズ瀬戸でもよい。シングルデラックス一つじゃ。頼んだぞ」
電話を切ると東山は夢子を見た。「思ったよりもややこしいことに巻き込まれておるようじゃな。田中さんは自殺じゃないかも知れんて。」「えっ?ど、どういうことでしょうか?」「夢子さんを監視していたのは政治家じゃ。まともには対抗できん。ワシは至急東京にもどらにゃならん。こちらも政治家のバックアップが必要じゃ」
「田中君、一体何をしていたの?」夢子は自分が出会ってしまった闇の深さに呆然とするばかりだった。
続く。フィクションであり実在の事件、人物、団体、クッキン○パパとはいっさい関係がありません。