家庭教師のコマーシャル

ある家庭教師のコマーシャルに「二時間半かけて塾に通っていた。家庭教師にした」というナレーションがあった。基本的にはあまりない事態だ。
まず二時間半かけて塾に通う、というシチュエーションがかなり特殊な事態である、ということだ。夜9時に終わるとして、家に帰るのが11時半。絶対に止めた方がいい。我が塾は結構遠くから来ているが、家に帰ると10時になるものもいるだろうな。だから、と言っては何だが宿題をほとんど出さない。出しても、そんなに時間のかからない範囲で出している。6年の場合、一日おきなので、塾のない日に宿題をすればいいのだ。その気になれば、塾に来てからでもできる程度だ。
ただ私は塾からの帰宅途中、小学生に出会う。大阪から京都まで帰るのだろう。Nの生徒だ。そのNは京都市内にも教室があるのに、なぜ彼等はわざわざ大阪まで通うのか。理由は、灘・甲陽に行きたいからだ。京都市内の教室では洛星か洛南の対策が中心になる。灘に行くには灘用のカリキュラムが必要だ。だから灘コースのある大阪まで受けに来るのである。そういう特殊な事情があれば、二時間半かけて塾に通う生徒もいるかもしれない。
しかしそういう生徒は家庭教師は止めた方がよい。多くの家庭教師は灘・甲陽・洛星・洛南・大阪星光・東大寺などに受からせるノウハウはない。特殊な家庭教師になる。ちなみに私を家庭教師に呼んでも全然無理。国語と社会は対応できても、算数と理科は無理。さらに併願の受け方など、さまざまなテクニックがある。残念ながら私にはそういうノウハウはない。それは塾長が独占している。そこが肝だから、中々公開はしないだろう。
ちなみに個別指導も同様で、あまり難関校向けではない。特殊なノウハウを身に付けた教師は少ない。私も社会は比較的早くに身に付いた(3年)が、国語は五年くらいかかった。受験産業の主軸をなしている廉価な労働力の供給源は学生である。学生は長くても4年で辞める。だから難関校のノウハウを身に付ける前にいなくなる。だから学生講師では中々難関校指導は難しいものがあるのだ。学生講師主体でも高い実績を上げている塾も存在するが、それには裏がある。その裏はいずれ。