地理

地理分野は比較的政治的制約が少なく、どのような授業をやってもプロ市民から文句が来ることはないだろう。一つだけ、竹島尖閣諸島北方領土は押さえておこう。関係国の名前も覚えておく必要がある。時事的な問題をからませるのが流行だからだ。間違っても余計なことは言ってはいけないプロ市民が文句をつけに来るからではなく、生徒が混乱するからだ。
地理分野は大きく分けると、農林水産業分野・工業分野・運輸分野・貿易分野・地図分野がある。一番問題になるのが図やグラフや表を使った問題である。基本は暗記させるしかないのだが、ポイントは何を暗記させるか、だ。
農林水産業で覚えておくべき点は意外と限られる。くだものはみかん・りんご・もも・ぶどう・おうとうの生産高上位五位までを覚えておけば問題はない。りんごとおうとうは上位二位でよい。ももとぶどうはよく似ているのでしっかり覚えさせよう。福島県が上位に来ているのがももだ。
野菜。高原野菜と促成栽培に関連するものは押さえておく。ピーマン・トマト・キュウリ・ナスが促成栽培で、宮崎県・高知県が上位に来る。高原野菜はキャベツとレタスだが、キャベツは上位に愛知県が来ているのが特徴だ。これは冬キャベツが近郊農業で栽培されていることと関係する。
北海道関係も押さえておく必要がある。たまねぎ、じゃがいも、乳牛、肉牛、小麦、米などは北海道が上位に来ている。北海道とどこが組み合わされているかで見分ける。兵庫県ならばたまねぎ、長崎県ならばじゃがいも、福岡県ならば小麦というあんばい。他のものは各自調べてください。
工芸作物も大事だ。表問題で威力を発揮する。群馬県のこんにゃく、栃木県のかんぴょう、千葉県の落花生、静岡県の茶など。茶は静岡県と鹿児島県のセット。みかんとからめて出題されるので、ひっかからないように。
林業は三大美林を覚えるだけでいいだろう。ほとんど出ない。水産業はグラフを見てどれが沿岸漁業でどれが沖合漁業で、どれが遠洋漁業でどれが養殖漁業か、とか、主な養殖の場所とかを押さえる。意外と水揚げ高の順位の問題は出ない。毎年変動が激しいからだ。しかし問題集などではおなじみの問題。これは問題集が近年の入試の動向についていけていないからだ。一昔前には多く出題されたが、今は変動が激しいので出題できない。しかし問題集はそんなことはおかまいなしに演習させる。だから塾講師も一生懸命覚えさせるのだが、無駄な努力だ。塾講師には近年の入試問題を広く研究することをお勧めしたい。できれば平成年間の主要校の問題くらいは目を通しておきたい。それだけで何を押さえるべきで、何を捨てるべきかがわかるだろう。
数年前には輸入自由化の問題が花盛りだった。牛肉とコメがもっぱら出題される。今年はBSE問題があるだけに再び話題にはなるだろう。ウルグアイラウンドやミニマムアクセスなどコメ関係の用語も押さえておきたい。もちろんBSEが何なのかわからない、というのは論外だ。
次回は工業分野のポイントを述べたい。