ある日突然ファシズムはやって来る2

もしこんな仕事があったらどうしようか。

雇用期間
1 5年間
2 定年まで(課長65歳、係長60歳)
3 1年間(以降双方の合意により1年間の雇用期間で2回を上限に更新することがあり得る)
※雇用決定通知時に連絡する

いや、これでは自分の未来が描けないだろうが。1,2,3のどれかははっきりさせておくことが必要だと思うが。どれを選ぶか、雇用主の自由、なんてそんな募集あるかよ。
しかしこれが現在の大学の公募の実態だ。これは最近あった大学の実際の公募の内容そのものである。ただ課長←教授、係長←助教授、雇用期間←任用期間となっているだけだ。2だったらそれなりに良い条件である。ただ助教授と教授の定年が違うのが少しひっかかるが。問題は3だ。あくまでも「双方の合意」なので大学の一方的都合で首になっても文句は言えない、ということになる。しかも2回を上限ということは3年間。短すぎる。こちらは2しか応募する気は出ない。現在の生活条件を捨ててまで応募する条件は2だけである。2で厳しい競争ならばやむを得ない。しかし応募して任用されていきなり3では今の方がよほどまし、ということになる。
しかもその大学では教員の研究活動は有害無益なものとみなされているようである。今年から教員電話帳で上級講師の居室が「執務室」となっていることが、それを傍証している。今までは「研究室」となっていた。この大学はもはや研究機関としての機能は放棄し、教育機関に特化していこうとしているのである。
この大学のこのような動きは実は今から15年ほど前に顕在化していた。大学院生を研究する主体として扱うのではなく、あくまでも教育を受ける客体として遇する、というのがこの大学が15年前に示した姿勢なのである。大学では研究をするな、研究はあくまで自分の家で自分の責任だけで行え、これが15年前にこの大学が大学院生に示した姿勢だったのだ。その改革には文学部の多くの教員は当然のこと反対した。しかし理事会はそれを強行した。その時文学部長としてこの「改革」を強力に推進した人が現在のその大学の総長として同種の「改革」を強力に推進している。次回はその顛末を記したい。