金成マツノート問題

北海道は金成マツノートの翻訳事業への助成を打ち切る、という。

文化庁は「金成マツノート」の翻訳に民俗文化財調査費から28年間、年に数百万円を支出してきた。今年度予算は1500万円のうち、半額を翻訳に助成。同予算は各地の文化財の調査にも使われる。これまでのペースでは、全訳するのに50年程度かかりかねない。文化庁は、「一つの事業がこれだけ続いてきたことは異例」であり、特定の地域だけ特別扱いはできないという。これをうけ、北海道は30年目を迎える07年度で終了する方針を関係団体に伝えた。道教委は「全訳しないといけないとは思うが、一度、区切りを付け、何らかの別の展開を考えたい」としている。

今の財政事情では苦しいのだろう。北海道としては苦渋の決断だろう。何しろこの五年間で法人税は大幅に引き下げられ、国債は大量に発行され、日本は沈没に瀕している。その努力の甲斐があって、ようやく日本の景気は持ち直してきたらしい。しかしこういうところには金は回らない。
事情を知らないのだが、私としてはこれからの金成マツノートの行く末について私案を出しておこう。
まず「年に数百万」というのがそもそも小さすぎる規模だ。これでは翻訳事業が長くかかるのは仕方がない。そこで、だ。翻訳を済ませるだけであれば、COEだ。どこかの大学が金成マツノートの翻訳を核にしたアイヌ文化研究の総合研究プロジェクトを立ち上げる。そしてCOEを申請する。数百万どころか数千万円の規模で金がおりる。翻訳事業に専念する人員を十数人は当てることができる。
その後はその大学で金成マツ研究所か何かを設立し、アイヌ文化の総合研究を行う。これしかないだろう。
もちろんそういうことができる最適の大学は北海道大学だ。現状、アイヌ語を研究しようとすれば千葉大学早稲田大学に行くのが多いという。北海道大学アイヌ語研究のメッカになるべきなのだ。金成マツの甥に当たる知里真志保がかつて教授を務めた縁もある。北海道大学は金成マツノートの翻訳事業の継承に名乗りを挙げよ。