備忘録ー田中秀征元経済企画庁長官の言葉

天木氏は上記のエントリの中で『朝日新聞』紙上での田中秀征経済企画庁長官の言葉も引用して「これもまた今の政治は不要であるといっている事なのである。」とまとめている。田中氏の発言をまとめてメモしておきたい。
まず「自民党は壊れたのでしょうか」とう質問に対して。

僕は「ぶっ壊された」とは基本的に思っていない。自民党液状化したということかな。基本的な構造と体質は変わっていない。だからこれからも南極の氷が溶けるような形でどんどん基盤が縮小していく。このままでは、じり貧だ。
(具体的には、との問いに対して)
この党は四つの柱で成り立ってきた。1 郵政関連 2 建設関連 3 軍恩・遺族会 4 農協や中小企業関連といった団体だ。特に1,2,3は支持だけでなく、強力な集票マシンとして機能してきた。このうち1は小泉前首相が敵に回した。2は公共事業費削減で集票マシンとしては衰退した。3は高齢化が進む。では4はどうかというと、グローバル化と、中央と地方の格差が進む中、民主党に支持が移ってしまった。

少し感想を。自民党の四つの柱のうち、今も強力に自民を支持している3の軍恩・遺族会関連がオタクに支持を伸ばし、若き自民党支持になっているような気がする。3は高齢化が進むのは一面ではあるが、それなりに再生産もされているのだ。
続いて「小泉時代自民党は多数の支持を得ましたが」という問いに対して。

彼は世論と無党派層を足場にして、自民党と対決した。支持の強さの象徴が郵政民営化だった。政策の中身よりも「そこまでやるのか」という姿勢が支持された。安倍首相が当初6割以上の支持を得たのも「小泉さんが推したんだから様子を見よう」ということだったと思う。その後いろいろ問題が起き「小泉と安倍は違う」と小泉支持の世論が自民党を抜け出してしまい、参院選で惨敗した。

田中氏は福田氏については「自民党にとっては、危機を乗り切るためには最も賢明な判断だ」と評価する一方で「だけど支持基盤は極めて古いものに拠っている」と懸念する。対応策として「自民党だけじゃなく、政界全体で人材が枯渇している。民間からの登用をもっと考えた方がいい」といい、「自民党は1955年からの結党当時から産業政策優先で、消費者とか利用者とかの側に足場を置いた政党じゃなかった。それが今も尾を引いている」とする。
天木氏が引用したのはこのあとだ。
「現状での自民党で、もし田中さんが幹事長になったら、どんな手を打ちますか」という問いに対して。

うーん、解党するね。解党的出直しではなく。解党して、いい人材と思想・理念、それで少数ででもしがらみのない人たちと出発する。だって、自民党の存続自体は有権者に大きな意味のあることじゃないから。党内にいる人には関係あるけれど。これは民主党についてもあてはまる。有権者は「いい政権」をつくって「いい政治」をやってもらいたいのだから。

有権者といかに結びつくことができるか、と」という質問に対して。

政治のプロは、政権交代がどうとか二大政党制がどうとか言うが、そう言っているだけでは有権者の共感は得られない。二大政党がどうかということより、とりあえずひとつでいいから「まっとうな政党」「いい政党」をつくってくれ、というのが普通の有権者の思いだろう。

確かに自民党にせよ民主党にせよ解党して、理念・思想を共有する人々で結びついて欲しい、というのはある。私からすれば、菅直人前原誠司が同じ政党にいるのは解せん。同時に安倍晋三谷垣禎一が一緒なのも「?」という感じだ。この辺解党して似た者同士がくっつけば、色々な人が喜ぶと思う。
二大政党に関して言えば、現状のようにどっちもどっち、という政党構成では無意味なのは事実だ。