むちゃくちゃな大学

来年のバイト先(以下バイト先1)のシフトが決まり始めている。大体10月ごろに内示があり、11月に正式にオファーがある。今週中に返事をする。基本的にはこちらの都合に合わせてカリキュラムを組むので、この後に変更が入ることはない。ところが困ったバイト先(以下バイト先2)があって、年が明けてから突然オファーが来る。向こうからオファーが来た時にはこちらのスケジュールはすでに詰まっているのだ。しかも向こうはその自覚がないのか非常にのんびりとした調子で依頼してくる。私はこの業界の常識の日程を向こうに伝えたところ、向こうからは「大学の新任教員の人事」云々という返事があった。断ろうかと思ったが、同業者に相談したところ、断らない方がいい、ということだったので、無理に行くことにした。大分県まで日帰りという強行スケジュール。朝一に出て最終の新幹線に乗る、という状況。少しでも狂えばアウト、という状態。
なぜそんなにスケジュール管理能力がないのか、不思議に思っていたのだが、今回その原因が分かった。まあ想像していた通りなのだが。そこの大学は上意下達の大学で、理事会が一方的に下に下ろしてくるのだそうで、現場の都合を無視した運営が行なわれているわけだ。「うちの都合に合わせられないヤツはいらない」ということなのだが、ある意味特殊なバイトはそうそういるわけでもなく、現場は人員確保に苦労することになる。
上意下達の組織必ずしもいいわけではなく、少なくともそこでは上手く行っていないわけなのだが、問題はもともと必ずしも上意下達ではなかったバイト先1もバイト先2の真似をする、というか、そもそもバイト先2はバイト先1の九州支社的な感じなので、バイト先2で試したことを本社にも取り入れようとしているというのが正しいのだろうが、バイト先1まで上意下達にしようとしていることである。
教授会というのは審議機能があるわけなのだが、今行われようとしているのは、教授会を理事会の意向の連絡の場としようということであるようだ。
一応回ってきた文書をコピー。

(バイト先1)大学では25名余の専任教員を擁する教員組織「総合教育院」(仮称)の案が全学討論に付されました。教対会議では激しい議論があったと伝え聞いていますが、教学機関の集約日は12月19日、事務諸機関の集約日は12月13日という具合に、来年4月設置を目指して突貫工事が進んでいます。
11月に常任理事会の下に設置された総合教育院具体化検討委員会による11月末の答申案によれば、総合教育院を「教員組織」と規定しながら教授会は置かず、所属教員を構成員とする会議体は「教員会議」だけであり、しかも「総合教育院の審議事項」という表現はありますが「教員会議の審議事項」は規定がなく、実質的な審議や決定は「総合教育院運営会議」が行い、「総合教育院教員会議」は、上意下達の連絡の場だと伝え聞く(バイト先2)大学の「教員会議」に近いものになる可能性が大きいように感じます。こう見ると、(バイト先1)大学における従来の学部・研究科や来年度発足する総合理工学院とは似ても似つかぬ教員組織ーー組織の長を所属教員が選べず、所属教員の合議によって運営されることのない教員組織が誕生しようとしているようです。
来年度にスタートする「総合理工学院」においても学院教授会の他に「学部教員会議」が置かれる予定ですが、「理工学部教員会議」が現在の学部教授会と同じ機能を担うことが理工学部教授会で合意されています。「教員会議」という名称が、総合理工学院と同類の教員組織であるという印象を与える「総合教育院」(仮称)では、実質的な審議機能がもたないと推測される会議に用いられていることは、無用の混乱を招く心配があります。
現在でも、教授会において発言し投票する機会を与えられていない専任教員は少なくなく、そのことは教学機関の弱体化を象徴するものとなっていますが、そのかたがたが集まり定員増を加えて、学部規模の教員組織を形成しながら教授会をもたないということは、教学機関の弱体化が進行し明確な形態をもつに至る事態と、言うこともできると思います。
「総合教育院」を教員組織にするのであれば当該院の意志決定の場としての教授会を置き、そうしないのであれば、「総合教育院」は全学教育にかかわる諸機構の調整機関としての性格を明確にし、関連教員は合議機能をもつ教授会のいずれかに所属して大学運営への発言権を獲得するようにすることが、経営と教学のバランスが壊れている現状を改善するために、あるいは少なくとも現在より悪化させないために、不可欠な配慮と感じます。