投資信託

ふと興味を持ったので。というのはとりあえず親が貯金してくれた定期預金があったのだが、それが完全に満期になって、銀行も合併を繰り返し、定期預金の扱いもなくなって普通預金に入れられてしまって2年近くが経過した。そのまま塩漬けにしておくのももったいないのでそれを積極的に活用しようといろいろ考えていた。
とりあえず利率の高い定期預金に預け替えを行い、利子分を試しに投資信託に回すことに。と言っても11万円。趣味に使ってもいいのだが、それを趣味半分に投資しよう、というわけだが、株式に手を出すほど根性はない。父親は趣味で株に手を出しているが、勝負事が好きな父親には良い趣味になっても私は勝負事が苦手なので株の取引をするのはやめようということで、投資信託
投資信託は止めろ、という本も一応斜め読み。手数料が高い、信託報酬が結局足を引っ張る、中国やインドの今後の成長を誰が保証するのか、ということがリスク要因。ただ私が定期を預け入れた銀行の投資信託のセールストークでもそのことは言われていた。他の銀行では書かれていないことなので面白かった。一応大意を書いておこう。
まず投資信託に向いていないケースとして「利益を上げたい」。信託報酬料が足を引っ張る。利益重視ならば自分で株式投資でもやった方がよい、ということらしい。もう一つ、数年後に買いたいものがあるので増やしたい、というケースにも向いていない。元本割れしたら目も当てられない。元本割れがこわい、というのもだめ。というのは、最初にいきなり高額な手数料をとられていきなり元本割れからのスタートだから。投資信託に向いているのは、使う当てが当分ないが、定期預金に入れておいても利率は低いし、上がる可能性もないし、かと言って積極的な運用は面倒くさいし、リスクはいやだけど仕方がないのかな、という分には向いているようだ。定期預金に入れている金にはぴったりだな。でも手遅れ。一年満期の定期にしてしまった。しかも投資信託とはどんなものかもわからない。そこでこれを趣味と考えよう、ということで10万円を投資信託にしてみる。一年間様子見。
投資信託の基本は分割。国内債券・国内株式・外国債券・外国株式を組み合わせると、ハイリスク・ハイリターンの外国株式からローリスク・ローリターンの国内株式までいろいろになるし、一方で損しても一方で得する、ということで、もうからないが損しない、という形になる。定期よりも少しいいかな、という程度で満足するのがポイントのようだ。もう少しリスクは許容できるがもう少しリターンがほしければ新興国に投資する。お試しで10万円が目減りする分にはいいかな、と思ったので新興国に投資するものを選んでみる。新興国では中国とインドが強い。しかし原油高とサブプライムローン問題の影響を考慮する必要がある。中国は最大の貿易相手国であるアメリカの経済と密接な関係があり、アメリカも中国を経済的なパートナーとみなしているのでサブプライムローン問題の影響は免れない。インドは資源輸入国であるだけに原油高の影響もあってしばらくは伸び悩むかも。ブラジルはやはりサブプライムローン問題の影響を受けそう。という偏見と思い込みでロシア関連に投資するという金融商品を買うことにした。ロシアは資源輸出国ということもあり、原油高ではむしろ有利な立場、ただ政府の税制が石油関連企業に有利なようになっていないようで、原油高の恩恵は少ない。サブプライムローン問題の影響はほとんど受けていない、というのが強み。政権の安定性もプラス材料。プーチン政権とそれを継承したメドべージェフ政権はいかにもソ連的で反帝反スタを自分の脳内でのみ掲げる私としては否定すべき政権だが、投資する立場になってみるとああいう強権的に安定させる手法は支持できるのかな。保守派の心性が少し分かるようになるかも(笑)。それも社会勉強(笑)。
ただ中国はいささかチベット問題で十分な情報開示がなされなかったことが投資筋にとってリスク要因と見なされているようで、このへんのさじ加減は難しい。日本もアメリカもロシアも相当えぐいと思うが、そこはプレゼンテーションの問題か。ロシアの少数民族問題は不勉強だが、相当ひどいという話を仄聞する。チェチェン問題はひどい話で、中国のチベットウイグルをめぐる問題と構図は変わらないわけだ。トルコのクルド民族への弾圧もひどいものだが、投資ではそれほど注目すべき新興国というわけではなく、BRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ)に比べるとまだまだ注目は小さい。ちなみにBRICS以外ではベトナムチェコポーランドハンガリーパキスタンが注目の新興国のようだ。中国は反中国勢力による敵視も問題化もしれないが、中国側も情報操作が拙劣であるようにも思われる。ロシアへの非難がすぐに消え、中国への非難がいつまでもくすぶるのは何もCIAによる悪意ある宣伝工作だけが原因でもないだろう。確かにチベット地域にアメリカの傀儡となる反中軍事国家を樹立するという野望があり、チェチェンにはそれだけの利用価値がない、というのもあるかもしれないが。ただそれを声高に言いすぎても陰謀論となるリスクもある。
ロシアのリスク要因は人口の減少と経済の成長鈍化。そうなるまでには時間がかかりそう。ブラジルは財政再建の途上にあり、インフラ整備に手が回らない、という状態。インドはパキスタンとの関係もさることながら、いまだに貧富の格差が大きく、それがリスク要因になる。格差の拡大はその国の経済をむしばむ、ということか。資源が少ないこともリスク要因。資源が少ない国は分厚い中流層を形成することが先進国として存立する要因だろう。逆に言えば中流層を分解させ、富を富裕層に偏在させ、貧困層を生み出すことは、中長期的にみて先進国から脱落させてしまうことにならないか。
とまあ投資信託を始めるだけでいろいろ勉強したくなるものでもある。まあしばらく勉強してみよう。経済は苦手でまったく勉強したこともなかったし、はっきり言って食わず嫌いだったからいい機会だ。