山川智応『日蓮聖人研究』

師子王学会から昨年に出版された山川智応『日蓮聖人研究』上下二巻到着。古本屋で3万円ちょっとで入手。もちろんほしかったのは「武蔵守宣時の人物事蹟位地権力とその信仰−聖人の法敵となりし政治界巨人の研究 其の二−」である。1931年に出版されたこの著作に収められた論文なのだが、宣時研究に関しては今日でも十分通用する。
最後の一節がけっこう面白かったのでここに引用する。

マルクスのいふが如く、経済組織・社会組織の上に立ち、それを弁護し擁護する宗教と、社規組織・経済組織そのものをも、宇宙実相の上に立たしめ、一切の文化を、その真理の上に立たしめんとする宗教がある。後者が即ち日蓮主義である。(下巻、209ページ)

いや、最後の一文はともかく、前半については、マルクス主義の基本がよくわかる。今どきのカジュアルな「反マルクス主義」の人々よりもはるかに分かっている。