鎌倉幕府「人身売買禁止法」追加法304

人身売買で不当に得た利益の処分について。

一 人身売買銭事、被寄進大仏畢。而自国々運上之事、有其煩之由、小聖申之。然者為地頭之沙汰、可送進之由、可令下知給之旨候也。仍執達如件。

読み下し。

一 人身売買の銭の事、大仏に寄進せられおわんぬ。しかるに国々より運上の事、その煩いあるの由、小聖これを申す。しからば地頭の沙汰として、送り進むべきの由、下知せしめ給うべきの旨候なり。仍て執達件のごとし。

人身売買で没収した銭は大仏に寄進されることとなった。建長四年に宗尊親王の病気平癒を祈るために銅で鎌倉の長谷に大仏を鋳造した。その費用にあてられていたのであるが、それを送るのがしんどい、と「小聖」が言ってきたので「地頭之沙汰」つまり地頭の負担で運んでくるように、という命令である。仏教と犯罪の金の問題もそれはそれでいろいろある論点なのだが、とりあえず。