加藤紘一元自民党幹事長の議論

少し古い話だが、知らなかった。一応備忘録として。リンク先(「http://www.katokoichi.org/videomsg/2008/081228_1.html」)

日本の非正規労働者は今1700万人を超え、働く人の3人に1人というところまできています。派遣労働者法の改正というのは、小渕内閣のときから進み始め、今度のアメリカ発の金融危機が起こる前から「この改正は、いざとなったら解雇自由、労働者を部品として弾力的に切り離せる仕組みだ」と用心されていたのですが、まさにそれが今、現実に起こっています。
私自身、何度もこのHPや著書などで言ってきたことですが、この現状は、新自由主義に基づく規制緩和は、竹中平蔵元経済財政政策・郵政民営化担当大臣や、経済諮問委員会の元メンバーである八代尚宏氏らの、非人道的な許しがたい失政によるものだと考えています。もちろん、立法府にいる我々も、強く反省をしなければいけません。
 しかし、この種のことを指摘されると、竹中氏は、「新自由主義に基づく改革が悪かったのではない。改革が中途半端だからこのようなことが起こる」と言います。テレビで語る彼の語り口は実になめらかで、一般視聴者の耳には、責任逃れの言い訳がシュガーコートに包まれてスルスルと通り過ぎていくようです。
 もしいま、1700万人の非正規雇用者も解雇が簡単でない状況にあったら、どうなっていたでしょう? 企業はおそらく、全労働者を同列に扱いながらレイオフをしたり、一時的に家庭待機にしたり、当然のことながら少し賃金を下げたでしょう。そうしないと会社が成り立っていかないからです。結果として、ワークシェアリングが広がっていたのではないか。全員が少し働きを減らし、一人ひとりが賃金を切り下げ、生活を少し切り下げる。それでもみな、生活の糧は守れる。もし日本人が生活水準を1割切り下げたとしても、たぶん発泡酒は毎日飲める。少なくとも餓死する人はいないでしょう。新しいYシャツは買えなくても、古いYシャツを着て、まだ新品同様のジャケットやセーターを着、少し底の薄くなった靴下を大事に履く。それでも生活はできているはずです。そしてそれは、中国や台湾、オーストラリア、ニュージーランドなどのGNPよりもずっと上でしょう。そして、時間が少し余った分で、多分、お父さんは家に帰って食事をするようになる。時間があれば、近所の地域社会でボランティアをして、困った人を助けようとする人も増える、そんなに悲観するばかりではありません。
 しかし現実には今、一部の正規の人たちが守られ、非正規が首を切られ、工場宿舎から退去を命ぜられる。政府・地方自治体の緊急雇用対策があるので、その宿舎には解雇後1、2ヶ月は居残れるかもしれません。しかしそれも、永遠ではない。
 本来なら連合は、10年前にワークシェアリングの議論をもっと突き進めるべきだと私は思いましたが、それができませんでした。連合自身が、正規労働者の利益擁護団体になっていたという、本源的な反省が今渦巻いています。