「関東新制条々」13−追加法349

ここから御家人関係の条文群。
本文

一 可専守式目事
被定置之後、有違犯事者、随聞食及、可有誡沙汰也。自今以後、固可守此法也。

読み下し。

一 専ら式目を守るべき事
定め置かるるの後、違犯の事あらば、聞こしめし及ぶに随いては、誡の沙汰あるべきなり。自今以後、固くこの法を守るべきなり。

法文の遵守事項。まあ日本国憲法99条「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」みたいなものか。鎌倉幕府法の場合、基本的には御家人への規制であるから、「将軍及び執権、評定衆問注所その他の御家人はこの式目を尊重し擁護する義務を負ふ」ということだろうか。
追記。
「式目」の内容が厳密に解釈されていないので、上の解釈は微妙にずれている。佐々木文昭氏の『中世公武新制の研究』(吉川弘文館、2008年)によると、本条は「御成敗式目を規範とする訴訟処理の原則を再確認し」たものであり、「式目」というのは御成敗式目を指す。上の解釈では「式目」とは「関東新制条々」を指す、となりかねない。(というか、そこのところ悩んでごまかした。もっと早くに佐々木氏の著作に気付いていればよかった)