「関東新制条々」15−追加法352

引き続き問注所にかかわる条文。裁判の充実は「自力救済」に任せず、弱者の言い分も取り入れようという動きである。裁判の充実は「徳政」の一部分として大きなウェイトを占めている。
前条から裁判の特に庶民の訴訟が取り扱われることの多い「雑務沙汰」つまり債権や動産に関する訴訟を担当する問注所に務める官僚の服務規定ということになる。
本文。

一 問注所遅引事
問注所執事并奉行人等、致緩怠之故也。政道之源、只在此事。云執事云奉行人等、殊存忠勤、可致沙汰也。各随彼勤否可有賞罰。且於奉行人等勤否者、執事可注申之矣。

読み下し。

一 問注所遅引の事
問注所執事ならびに奉行人等、緩怠を致すの故なり。政道の源、ただこの事にあり。執事といい奉行人といい、ことに忠勤を存じ、沙汰致すべきなり。おのおの彼の勤否にしたがい賞罰あるべし。且つ奉行人等の勤否においては、執事これを注申すべし。

問注所の機能を強化するための一環として裁判の迅速化を求めた条文。裁判の長期化の原因として「緩怠」が挙げられている。さらに執事に監督責任を求めている。