「産経新聞が初めて下野なう」に関する産経新聞元論説副委員長の見解

ツィッター産経新聞記者が「産経新聞が初めて下野なう」「民主党さんの思い通りにはさせないぜ」とつぶやいたことに関する産経新聞OBの花岡信昭氏の発言(「http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20090922-00000002-aera-pol」)。

「論壇では朝日新聞の『論座』が消え、田母神ブームが起き、保守論壇が勝ったと思っていたところにこの結果。動揺はしているんじゃないかな。一時の自民党にのめりこみ過ぎて時代が何を望んでいるかまで思いが及んでいないのでしょうが」
 その例として花岡氏が挙げたのが31日朝刊1面の政治部長名のコラム。麻生元首相が終戦記念日靖国参拝しなかったことを自民敗因の一つに挙げた。根拠は不明なのだが、
「背景には、産経ならではの忘れられない『成功体験』があるんですよ」(花岡氏)
 その成功体験とは小泉政権に行き着く。小泉元首相は総裁選で、「靖国公式参拝」を公約し、実際に政権獲得後も、中国などの反発にもめげず、参拝を続けた。これが地方の保守層を引き付け、小泉劇場を5年余りのロングランに仕立てたという解釈であり、また、それが部数で苦戦が続く産経にとって、マーケティング戦略でもあったという。

保守論壇が勝ったと思っていた」というのが、もし花岡氏の言う通りの産経新聞の認識だとすれば、ひどすぎる。『論座』と同様に『諸君!』も消えている。「田母神ブーム」はそれに引かれた層と同程度以上には引いた層もいたのではないか。産経新聞が花岡氏の指摘のように「自民党にのめりこみ過ぎて時代が何を望んでいるかまで思いが及んでいない」のだとすれば、メディアとしては危機的である、とすら感じる。この花岡氏の分析が正しいだろうと思えるのは、「産経新聞が初めて下野なう」という発言である。「民主党さんの思い通りにはさせないぜ」の方は、まだ「社会の木鐸」ということで弁護の余地はある。しかし「産経新聞が初めて下野」ということは、産経新聞自民党と一蓮托生ということで、到底「是々非々」の姿勢ではあり得ない。
ちなみにその「成功体験」に関しては花岡氏も8月10日の記事(「http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/288014/」)で

保守層にとって靖国は格別の位置づけにある。その心情をみごとなまでにすくいあげた小泉氏ならではの「政治的カン」がそこにあった。
さあ、麻生首相はどうするか。8月15日参拝を「電撃的に」実現させたら、これはどえらい反響を呼ぶ。中国や韓国などがどう反発しようとも、国内の保守層の思いをがっちりとつかむほうが先決だ。

と述べているので、余計に「成功体験」にしがみついての失敗が身にしみて感じられたのではないだろうか(笑)。
追記
ちなみにどうでもいい話、というよりも私の恥をさらすわけだが、私は「下野なう」の意味が最初皆目分からなかった。今でも腑に落ちない。どうも私はネットスラングにかなり抵抗があるようで、我ながら頭が固いな、と。学生に初めて「シューカツ」と言われた時、一瞬きょとんとしたおつむの持ち主だからな。「マスゴミ」とか「鳩左ブレー」とか、マスコミや鳩山由紀夫氏に批判的であっても、そういうネットスラングにアレルギーを持つ頭の固い人々が自民党の本来の支持者であったはずで、それが自民党サイレントマジョリティなのだろう。一方、中山昭一氏が「内外のネットは「マスゴミ」「鳩左ブレー」とどんなに叫んでも」と自身のブログに書いたように、近年の自民党はノイジーマイノリティでしかないネット世論に媚びすぎた。これが自民党の敗北の一つの原因だろうし、またその敗因を全く総括することがないのは、いまだに自民党にとって心地よいネット世論に拠りかかっているからだろう、と想像する。
参考
2009-08-11
なに他人事みたいに言ってんだよw - apesnotmonkeysの日記