原発マネー

NEWSポストセブンの記事より。ここは原発事故直後、「放射能恐怖をあおる左傾学者」とかいう題目で、原発事故の責任の所在をごまかそうとしてきたメディアであって、とにかくエキセントリックな題名と内容で読者を煽るのが得意技のように見受けられるので信用は置けないが、そういうメディアが、風向きで百八十度変わる好例としてメモ。まあ小学館というだけで、それぞれ方針は違うから。ちなみに「左傾学者」と煽っていたのは週刊ポスト、今回取り上げるのはサピオサピオの編集部は歴史を担当する編集者が干支を知らないせいで、ネットに誤った干支が出回る、という被害を出したところだ(笑)

関村直人・東京大学大学院工学系研究科教授5760万円が「受託研究費」の名目で(日本原子力研究開発機構)、山名元・京都大学原子炉実験所教授が「寄付金」の名目で120万円(日本原子力産業協会)、山口彰・大阪大学大学院工学研究科教授が「受託研究」の名目で3385万円(ニュークリア・デベロップメント)……。
 これは、東京電力福島第一原発事故の発生直後から、連日テレビに出演し、事故について解説していた大学教授たちに渡っていた「カネ」のリストの中からの抜粋である。ちなみに諸葛宗男・東京大学特任教授=当時と中島健・京都大原子炉実験所教授は「0円」だった。
(中略)
「ほとんどの核燃料は、今も原子炉の中に収まっていて、原子炉はすでに停止している状況だ。住民には冷静な対応をお願いしたい」
 関村教授がNHKに出演し、こう視聴者に呼びかけたのは震災翌日の3月12日のことだった。
 福島第一原発1号機の原子炉建屋が水素爆発で吹き飛んだこの日以来、“専門家”である大学の科学者たちはコメンテーターとして各局、各紙に出ずっぱりとなった。
(中略)
事故直後で情報がない時期だったとはいえ、“専門家”たちの意見は必ずしも的を射ていない。むしろ政府・東電寄りに立って「安全」を強調していたのではないかと思えるものも少なくない。
取材班は、事故直後に頻繁にマスコミに登場した教授たちに、企業や政府機関から過去5年間で合計約8億円ものカネが流れていたことを、所属大学への情報公開請求によって明らかにした。これら大金はほとんどが“原発推進派”から提供されたものなのである。

まあ、こういう状況で「専門家を信頼しましょう」と言われても、中々信用しづらい、という気持ちも働いてしまうわな。今や原発の安全性が全く信頼されておらず、「原発は安全だ」と言いつづけてきた「専門家」が今更信用されないのは当然だが、一方で「信頼」すべき「専門家」がいない、というのも問題で、「非常時だからこそ専門家を信頼しましょう」と言える状況をまず作り出さないと、「非常時だからこそ専門家を信頼しましょう」という言葉も説得力を持たない。風説被害を食い止めるためには専門家の信頼回復がなされなければならず、それは今までの原子力に関する「専門家」が、自らの過ちを検証し、自己批判し、再出発しなければならないのではないか、とは思う。