占有訴権

昨日電車の中でつらつら読んでいたことをまとめているだけ。
盗人にも三分の理という諺がふと頭をかすめる(実際には関係がない。このことわざの意味は無理にこじつければ何とでもいえるものだ、くらいの意味)。泥棒にも占有権がある、という話。泥棒が盗んだものを持つ続ける場合、泥棒は所有の意思をもって占有している。したがってこれは「自主占有」ということになる。「へ?泥棒にも占有権があるの?」と不思議に思えるが、泥棒のように権限のない者にも占有権を認める理由としては、たとえ不当な占有であっても、私人が実力行使によって物を取り返すことを認めず、法律に基づいて取り返させるためという考えがあるそうな。平たく言えば「自力救済の禁止」ということ。これを認めると社会の秩序が乱れる。確かに日本の中世は自力救済の世であった。自力救済の否定を「平和令」という。自力救済の世は乱世なのだ。ある意味合点。で、法律に基づいて取り返すということは、つまり裁判所に救済を求める。これを「占有訴権」という。まあ鎌倉幕府法でいうところの「雑訴の興行」ということだ。「撫民」「徳政」というのもその路線になる。