即時取得

昨日電車の中で半分寝ながら読んでいたせいか、いま一つ頭に入らず、今日再び整理して過去問を解いてみてみごとに自爆したのが「即時取得」。
民法192条「取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を有する。」
ある動産を売主Aが所有していると信じて買主Bが買って引き渡しを受けた、とする。その動産は実はAのものではなかった、という場合、善意無過失のBを保護することによって動産についての取引の安全を図る制度、ということらしい。
即時取得の要件。
1 動産であること。
2 前の占有者が無権利者あるいは無権限者であること。
3 取引行為による取得であること。
4 動産の占有を取得した者が平穏・公然・善意・無過失であること。
5 占有を取得したこと。
それぞれについて注釈。
1の「動産であること」から除外されるのは金銭とか自動車など。金銭は占有しているものが所有者になるので同時取得の適用はない。というか、ことさらに同時取得を適用しなくても自動的に同時取得になっている、ということかな?自動車や自転車(防犯登録済)の場合も登録によって公示されているので、同時取得の適用はない。
2について。「無権利者あるいは無権限者」というのがなかなか難しい。そもそも権利者であれば、同時取得をわざわざ適用して取引の安全を図る必要はない。そらそうだ。権利者から取引で取得した者はわざわざ民法192条で認めてもらわなくてもいいわけだ。これはいい、ことにしておく。過去問で引っかかったのは「成年被後見人」をどう考えるか。「成年被後見人Aがその所有するパソコンをBに売却したが、BはAが成年被後見人であることに善意・無過失であった場合」に即時取得が成立する可能性があったか、という問題。答えは「可能性はない」、ということで「可能性がある」と考えた私は見事にアウト。考えれば成年被後見人は別に「無権利者」でも「無権限者」でもないのだ。やられた。
3について。取引行為であること、であって、相続とか、自分で誤信した、とか、拾った、とかでは即時取得は成立しない。
4はまあいい。わかった。ことにしておく。
5だ。これは「占有改定」つまり「お取り置き」の場合に即時取得が成立するのか、ということ。これは「判例によれば」成立しないらしい。ということは「成立する」という見解もあるわけだ。
具体例をあげて考えてみる。
AがBに馬を貸した。Bはその馬を自分のものだと偽ってCに売却した。Aに何ができるか、という問題。
AがCに「おれの太刀を返せ、ごるぁ!」と詰め寄ることは法律的にはアウト、ということである。Cは太刀に関して即時取得が成立しており、AにできるのはBに対して「何でおれの太刀を売りやがったんじゃ、責任とれや」と詰め寄ることくらいだろう。その結果BがCに交渉して太刀を返却してもらうことはありうるし、またAが直接交渉してCから返却を受けることもありうるが、それはあくまでもAが頼み込むだけで、Cを法的に追求することはできない、ということだ。
これがややこしいのは、BがAから盗んだ場合は期限付きでCに直接返還請求ができる、ということだ。私が電車の中で引っかかったのは、そもそもBはAから盗む以外にどうやって無権利者による占有を開始しえたのだろう、ということだ。盗んだ場合は直接返還請求ができる、というのであれば、どういう場合に返還請求ができないのか、すぐにはわからなかった。テキストをよく読んでみると「借りておいてそれを売る」という詐取があったか、と気付いた次第。
昨日の復習はこんなもの。次は「所有権」だ。また勉強したものをノートにまとめておこう。というか、このブログ、この一年弱はほとんどノートだな。