西岡剛選手かっけぇ

千葉ロッテマリーンズ西岡剛選手が一部ファンの行き過ぎた横断幕に苦言を呈した(「http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2009/09/27/01.html?feature=related」)。

何度も声を詰まらせたロッテ・西岡の目は心なしか潤んでいた。マイクを手にお立ち台を降りると、右翼席のファンに向かって訴えかけた――。
 「選手のプレーを見て、将来プロになりたいと夢見る子供たちも見に来ている。ああいう中でプレーしたいと思う少年はいない。子供たちの夢を壊さないでください。本当にロッテを愛してくれているのなら、あしたから横断幕を下げてください」
 異例の行動に球場全体は静まり返った。スタンドには涙を流すファンもいた。前日から右翼席には低迷の責任を球団に求める横断幕が並んだ。この日も特定の球団幹部の名を挙げ「死刑」などフロントを批判する横断幕が出た。「イライラして、そこに打ち込んだろと思って振ったら、たまたまホームランになった」。球団新記録となる今季7本目の先頭打者弾。4回にも2点二塁打を放った西岡は、打球に怒りを込めたと強調した。
 チームは5位以下が確定。今季はバレンタイン監督と球団の確執がファンにも飛び火。騒動が頻発してきただけに、西岡も不満を募らせていた。「成績が悪いのは僕ら選手にも責任がある。不平不満が出るのは分かるけど、日本一のファンと言われているんだし、どんな状況でも純粋に選手を応援してほしい」。ファンが大切な存在であるのは分かっている。「でも選手間ではプレーしながら残念という言葉もあった。ただ誰も言えない状況やったから…」。批判を受けることを覚悟の上で声を上げた。
 「今年はこんな成績で、こういうことを言える立場じゃない。勇気がいったけど、1人の人間として間違っていると思って言わせてもらった」。ベンチ裏の通路でも、西岡は先頭打者弾の質問を遮って続けた。「ファンは選手を信じているから応援してくれる。僕らもファンを信じたい」。来季の巻き返しへファンの力は必要不可欠。球団、選手、ファンが一体となる重要性は誰もが感じている。

西岡選手の訴え全文(「http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2009/09/27/02.html」)。

◆西岡のファンへの訴え全文◆
 僕自身もそうなんですけど、選手は一生懸命プレーしようとしているし、僕自身、ロッテに入ってファンの方の応援を見てこのチームを凄い好きになりました。
 でも、ライトスタンドに批判があったり、いろいろな横断幕が出たり、僕ら選手にもそういう状況にさせてしまったという責任があると思う。きょうも野球少年がいっぱい見に来ていると思います。選手一人一人のプレーを見て夢を描く子供たちもいると思うし、そしてスタンドの歓声を聞いて、大人になったらこういうところでプレーしようと思って頑張っている子供たちもいると思います。その子たちの夢を崩さないでください。
 僕自身も今年こういう成績で、言える立場じゃないですけど、1人の人間として間違っているものはあると思うので。もう一度選手一人一人も考え直して、このチームをもう1回強くしたいと思うし、そのためにはファンの皆さんの応援も凄く必要になると思うので、本当にロッテを愛しているのであれば、あしたから横断幕を下げてほしい。またあしたから応援の方よろしくお願いします。

それに対する反応(「http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2009/09/28/14.html」)。

試合終了の瞬間、右翼席の一部を除いた球場全体から「ツヨシ・コール」が起こった。3回に二塁打で出塁したロッテ・西岡は、1死三塁から福浦の三邪飛で生還。延長12回には三塁打を放ち、好守も連発。異様な雰囲気の中で懸命にプレーした。
 「プレッシャーはありましたよ。批判されてもしゃあないことを言ったし、こういうことが起こっても仕方ない」
 前日のお立ち台で、右翼席の一部ファンに球団批判の横断幕を下ろすように訴えたことを受け、一部ファンが過剰反応。初回の打席でブーイングが浴びせられ「二日酔いで試合サボり 夢を語るスピードスター」「よっ!偽善者」など西岡を中傷する横断幕が掲げられた。だが同時に、それを打ち消す大拍手も起こった。「(球団批判の)横断幕は下がっていた。批判してる人に怒りをぶつけるつもりもない。いつかもう1回、一丸となる日が来ると信じている」と話した。

これだけみると、西岡選手の真っ当な発言に反応してロッテファンの名誉を傷つける愚行に及んだのは、ごく一部のファンであるかのように感じられる。
しかし次の記事を見ると必ずしもごく一部ではないことがうかがえる。
デイリー(「http://www.daily.co.jp/baseball/2009/09/28/0002393945.shtml」)。

逆境に強い男がプレーで応えた。一回、ロッテ・西岡が打席に立つと、トランペットの音が消え、ブーイング。26日の試合後、右翼席に掲げられた球団を批判する横断幕のあまりに過激な表現に抗議した西岡に、心ないファンが“反撃”に出たのだ。
 西岡を中傷する横断幕も掲げられる一方で、自然と“ツヨシ”コールもわき起こる。異様な雰囲気の中、第1打席は三振に倒れた西岡が気概を示した。三回には三邪飛で三塁からタッチアップし生還。延長十二回には、左翼線三塁打を放った。
 いつの間にか場内は、勇気ある発言を支持する声援が心ない声をかき消した。西岡は「批判があるのは覚悟していた。1%でも(横断幕が)下がればいいと思っていたから良かった」。そして「ロッテが好きという原点はみんな一緒。いつかは気持ちがひとつになるのを信じたい」と前を向いた。

トランペットの音が消えるのはかなり組織的である疑いを免れない。「一部ファンの暴走」というものではないだろう。
スポーツ報知の記事(「http://hochi.yomiuri.co.jp/baseball/npb/news/20090928-OHT1T00027.htm」)をみる限り、応援団の責任は大きい。

ロッテ・西岡がファンとの再出発を誓った。前日(26日)の試合で一部ファンが掲げたフロント批判の横断幕に心を痛め、お立ち台で反省を促したことが反発を呼び、この日の右翼席には西岡個人を中傷する横断幕が掲げられた。応援団もリードオフマンの時だけ鳴り物の応援をやめるなど、球場は不穏な空気に包まれた
 球場の大部分が手拍子と声だけで声援を送る中、背番号7は3回、三邪飛の隙に三塁からタッチアップで帰還するなど、随所に好プレーを披露。「批判されてもしゃあないという覚悟で言ったので、後悔はしていない」と、ファンの行動を冷静に受け止めた。
 誰よりもチームを愛する気持ちがあるからだ。「来年このままいってしまったらどうしようもない。批判した人たちには怒りもないし、ロッテの応援をここまで作ってきてくれた人たちだし、感謝している。今はすれ違いがあるけど、原点は“全員ロッテが好き”だと思うし、いつかまた一丸になってやれる日が来ると信じて最後までやりたい」。試合後はあふれる思いをはき出した。

本来一部ファンの暴走を制止し、西岡選手をより一層応援してチームを盛り上げるのが応援団の存在意義であろう。一部ファンの暴走を煽るようなことをするのであれば、その応援団の責任は免れないし、存在意義も問われてくるだろう。
応援団のために球団は存在しているのではない。ファンはしっかりと見なければならない。いずれに正義があるのかを。