足利義輝政権を考える1

画像は足利義輝

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スキル名「剣豪将軍」が表すとおり、いわゆる剣豪カード。指揮兵数はコストやレアリティに比べて低いが、成長度が高い。義輝は兵数は1990と、普通の武将カードと比べても遜色がない。しかし一時排出されていた細川幽斎(特)よりも性能が落ちる。
黒嶋著作書評作成企画の第八章「山伏と将軍と戦国大名」のパート。
戦国時代に至っても存続していた室町幕府は、強制力を欠いた「権威」とする視点が通説であった。その一方で戦国大名の研究においてはしばしばその領国を国家とみる見解も提出されてきた。古くは勝俣鎮夫氏、近くは丸島和洋氏が『戦国大名の外交』が戦国大名の領国を「国家」としている。
それに対して、室町幕府の固有の役割を重視した二木謙一氏、あるいは戦国大名を守護公権に基づく「戦国期守護」として幕府ー守護体制の枠組みで理解する今岡典和氏、川岡勉氏、矢田俊文氏の研究が出され、また史料に恵まれた足利義晴期の幕府内部構造の解明が設楽薫氏、山田康弘氏、西島太郎氏によって出されている。
しかし黒嶋氏は「地域権力と将軍の具体的関係を、時間差に留意して検証することが必要」と指摘する。この指摘は黒嶋著作の全体を通じて主張されているもので、地域権力だけでも、将軍権力だけでも不十分で、なおかつ将軍と地域権力の関係を固定的に把握することを一貫して批判し、時間差に留意しながら、地域権力と将軍の具体的関係を指摘しているのが本書である、と言えるだろう。また黒嶋氏は「抽象的な権威論や個別大名研究を越え、戦国期の列島を鳥瞰すること」の必要性を指摘する。ここまで奥州探題九州探題、下国氏、琉球王国と島津氏が検討されてきた。特に奥州探題のところで、大崎氏が没落する過程として、足利義輝の時代に有力国人が将軍と直接結びつくことによって、将軍と有力国人を仲介していた大崎義直の存在意義が低下したことが指摘されてきたが、大崎氏がショボい序カードにしかなれなかった原因がこの章で明らかにされる。
足利義輝は大名間の紛争の調停を熱心に行った将軍であるが、黒嶋氏は義輝の調停活動を全国的な視野から検討しようとする。黒嶋氏は伊達稙宗と芦名盛舜の紛争や、尼子晴久毛利元就の紛争に介入する足利義輝の特使として赴いた聖護院門跡道増に着目する。