詩の読解について

今ちょうど数回にわたって詩を教えている最中。詩の読解ほど誤解されている分野はない。自分の内面の叫び、沸き上がってくるものを詩にする、なんてこと考えていたら、詩の読解はほぼ絶望的。詩とは、極めて厳格な形式に則って記述される言語体系なのだ。
従って詩を読解する時には、その形式を押さえる必要が出てくる。逆に言えばその形式さえ押さえれば、別に詩の作者の心情に共感しなくても、詩の問題は解ける。共感できればそれで何の問題もない。しかし残念ながら、詩の世界を共有するためには、その詩が有している厳格な形式を理解する必要があるのだ。
といっても韻文論などを、ここで展開したいわけではない。というか、無理。あくまでも中学入試で必要な最低限の形式を理解する必要がある、ということだ。その理解なくして詩の読解はできない。これは多分小学校でも習う。しかし小学校では感性の涵養に努めるために、詩の形式はなおざりになる。しかし塾では受験知を授ける場であり、教育知を授ける場ではない。受験知と教育知についてはまた論ずることにするが、一応学校で教えることと、塾で教えることは違う、ということだ。
中学受験で押さえるべき詩の形式は単純だ。まず口語詩・文語詩。自由詩・定型詩散文詩。ちなみに分からない場合は口語自由詩と答えておく。そうでないものは見れば分かる。しかし見れば分かるためにはそれぞれの特徴を知っておく必要があるのだ。
次に叙情詩・叙景詩・叙事詩。これは叙情詩と答えればOK。それ以外だったら天を怨もう。
そして表現技法。表現技法が使われているところは作者の感動の中心。直喩・隠喩・擬人法・対句法・繰り返し、呼びかけ、体言止め、倒置法位は押さえよう。
連分け問題は、困った時は行数÷連数で何とかなる。あとは繰り返しに注意。
と言う風に見てみればわかるが、実は基礎知識を押さえれば、何とかなるのである。国語は感覚が合わないと訳が分からない、といわれるが、まずは基礎知識の習得。これにつきる。詩はそれ以上のこつは基本的にない。俳句と短歌はこれにそれぞれ独特の事情を押さえよう。