仮名書きの御内書3

琉球世の主宛の国書を「御内書」あるいは御内書に準ずる、と評価することの妥当性をめぐって、現在仮名書きの御内書を集めている。今のところ琉球世の主宛の文書以外では五通検出している。その五例はいずれも『改定史籍集覧』の「室町家御内書案」下の後半部分の「御内書記録」に収められている。私は以前こに収められた御内書を「五十九通」としたが、『室町幕府関係引付史料の研究』を見たところ、山家浩樹氏は「六十通」としていらっしゃる。氏の解説に従って、この「御内書記録」について整理しておくと、これは大館常興の御内書を集と一本を成して伝来した、ということである。足利義晴自筆の他、伊勢貞忠、伊勢貞充、大館常興、「飯宮」、「飯山」(飯川国弘カ)が御内書の作成者として名前を連ねている。「飯宮」を私は女房かと推測したが、多分外れている。ただ仮名書きの御内書を作成したのはすべて「飯宮」であることに注意を要する。
とりあえず大館常興による「昔御内書符案」(『ビブリア』80号、1983年)が来たので見たが、琉球宛の国書以外の仮名書き御内書はなかった。