「帆別銭ノート」を読む2「勧進としての帆別銭」

画像は今川義元(特)。

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二つあるが、こちらは一般に手に入った方。弓隊円陣スキルを持っている。優秀な弓防カードだが、最近はコスト比重視で組んでいるので、コスト3で2700という指揮兵数では最近出番がない。むしろコスト2.5で兵数2500余りの今川氏真の方が重宝する。氏真は器の攻撃カードで、スキルが一致しないが、そもそも氏真のスキルは使い物にならないので、気にしていない。最近はコスト比重視で姫武将が活躍している。防御方針の変更によって余剰となった義元(特)であるが、ランク1のレベル20には達しているので、ランクアップ合成の素材にするか、悩んでいる。
従来は帆別銭は津料の一種として把握されてきた。黒嶋氏はまずそこに疑問を見出す。鎌倉時代の帆別銭では、三年という期限、寺社の造営費用という宗教目的の臨時的な賦課であることから、棟別銭との共通性を指摘し、それは津料とは異なる賦課であった、と考える。
帆別銭徴収の実態を示す史料として挙げられた「武蔵国品河付湊船帳」とその解釈をめぐる論争が取り上げられる。品川に多数の伊勢の船が来校していたことを証明した綿貫友子氏の研究では「徴税関係史料」とされていたが、対して宇佐美隆之氏は「〈自申年成湊舟〉元品河」(申年より湊舟となる、元は品河)という文言が徴税台帳では説明できないことを主張し、「湊舟」は伊勢の神船であり、それを書き上げた「帆別銭免除の台帳」とした。黒嶋氏は両氏が津料の一種として帆別銭を理解していることを批判し、それは宗教目的の臨時賦課と捉えるべきとした上で、この史料を検証する。
黒嶋氏は東国の宗教権門も多く品川に来航していたはずであり、「帆別銭免除の台帳」であるならば、伊勢神宮の神船がそれらの宗教権門関係の船よりも強い帆別銭免除特権を持っていたか、他の宗教権門関係船も帆別銭免除特権を獲得していたか、どちらかを論証しないと成り立たない、と宇佐美説を批判する。
黒嶋氏は「往来船」を「湊船」とみなして課税を認める事例を検討し、「湊船」とは湊に出入りして課役対象となった往来船のことである、と考える。そして「成湊舟」とはもとは品川の舟(地船)であったが、別の課役対象の「湊船」となっていた、ということではないか、と推測する。結局綿貫ー宇佐美論争は、「品河」と「湊船」を船籍という属性で同列同質に解釈しようとすることから生じた議論である、とし、地船のテリトリーを超えて、別の航路を進み、新たな品物を積んで行き交うようになった時、その船は「往来船」「湊船」として、地船とは異なる賦課基準を適用された、と考える。そしてこの史料を課役負担が発生する「湊船」を書き上げたもの、厳密にいえば品川湊に寄港・停泊していた船から武蔵国内の船(地船)を除いたリストであるとする。
帆別銭と津料の徴収原理が似通ったものであるが、性格が異なるものである以上、帆別銭は規定額の津料に便乗して徴収されており、津料と帆別銭の合算分を問が徴収し、帆別銭分を寺に納入していたのではないか、と考える。