架空鉄道を作ってみる

架空鉄道を造るわけだが、いくつかサイトを拝見すると、いくつかのパターンがある。まずは全くの架空。地名から架空のものだ。レイアウト自体がそもそも架空鉄道で、この時に架空の地名を使うことになる。トミックスの地方駅舎を使うと「井中駅」となる。街並みコレクションならば西工駅か白石湖となる。これはリニューアル後なので、リニューアル前には別の名前だったようだ。街並みコレクションリニューアル版では大糸駅と大山湖駅を結ぶ路線であるようで、完全に架空の地名となる。
そもそもレイアウトの多数派は実在の鉄道の模型が走るパターンが圧倒的に多い。それも国鉄形が主流だ。私もさまざまな国鉄形・JR形の車両を保有しているが、それをもとに架空鉄道を作り上げるのは骨が折れる。いきおい完全に架空とならざるを得ない。基本的にストーリーはあまり考えられない。
しかし現在注目されているのが「現実的なフリースタイルモデリング」と呼ばれるもので、あたかもプロトタイプが存在するかのような鉄道風景を作り出す、という方向性である。新幹線やブルートレインが走り回るレイアウトにはプロトタイプは存在しない。しかしHOの世界では結構地方私鉄の車両が売り出されていたこともあり、地方鉄道をモチーフにした架空鉄道を構想することができた。しかしNゲージの世界ではほとんどが華やかなJR形、あるいは国鉄形であり、架空鉄道を構想しづらかった、というのがある。しかしトミーテックの鉄コレはこの状況を一変させた、といってよい。昭和の雰囲気満点の街並みコレクションと鉄コレを組み合わせることで、容易に架空鉄道を構想することができるのである。特に私のように手先の不器用な人間には福音である。何しろまともな工作が出来なくてもそこそこ雰囲気のある架空鉄道ができるからである。
架空鉄道を私も作って見ることにした。
まず地域の特定である。地域も架空だと、自由が利きやすいというメリットがあるが、同時にイメージが茫漠としてつかみづらい、というデメリットもある。
持っている車両とのかねあいもある。鉄コレのフリーランスを走らせるのが主眼だった。しかし何となく阪急で買ってきた阪急920系も動力化して見るとものすごく走らせたい。そこでいくつかのプランが浮上した。
まず考えたのが安曇野地区を走る安曇野鉄道。大町温泉郷大町市、そして安曇野地区を走る私鉄のイメージ。しかし何となく路線がしょぼい。平湯温泉高山市を結ぶ平湯温泉鉄道。悪くはない。他に諏訪湖の南岸を岡谷市茅野市を結ぶ鉄道もどうだろう。
信州地区が多いのはその地域に何となく思い入れがあるから。昔『鉄道模型趣味』(機芸出版社)の増刊号のプレイモデルの第2号の「咲花駅」のセクションに感動した、というのがある。当時小学校6年生だったが、大糸線南小谷駅をモデルにした北信州ムードのレイアウトセクションには旅情をかき立てられた。さらには1983年の沢渡鉄道のレイアウトにも心を動かされた。美しい信州ムードのレイアウトだった。どちらも地名は架空だが、信州という地域は限定されていた。さらに高校の修学旅行も信州で、その体験も強く影響している。信州の中小私鉄をモチーフにすれば鉄コレにはぴったりのムードだ。
あとはストーリー作りなのだが、その途中で名古屋急行電鉄の話を知ってしまう。そうするともういけない。これで物語を作りたくなってしまうのだ。しかも現在保有している鉄コレと阪急920系だけでなく、近鉄10100系や阪急2800系も含めた物語を作りたくなってくる。
こんな具合に様々な妄想を入れながら、自分の思い入れに合わせて鉄道を構想するのも楽しいのだ。
そういえば昔山陰地方鉄道なんて架空鉄道を作っていたな。車両も設計したりしたものだ。最後には50分の1の大きさの車両を方眼紙上に書いて見たりして、細かく設計したものだ。懐かしい。京都から松江を結ぶ鉄道だ。非電化の国鉄に対し、全線電化で、京成の旧スカイライナー似の車両だった。ただ好みの問題で全面はED72に似ていた。あと塗色は紫とオレンジという悪趣味な色分け。色々と楽しんでいたことが思い出される。弟も中部地方鉄道とかいう架空鉄道を作っていた。塗色は紫一色に白い帯。こちらの方がまだセンスがありそうだ。
自分でも訳がわからないのが急行仕様の車両で、リクライニングだが、回転しない、という仕様。回転しないことに意味があるのか、と自分でも突っ込みたくなるが、当時まだ小学生の低学年だった弟は正しくその点を突っ込んでいた。弟の鉄道では急行仕様はリクライニングしない回転クロスでまともだ。どうも弟の方が車両設計のセンスはあったのかも知れない。ただなぜだかレガシー仕様に関心があるようで、なぜだか吊りかけ駆動。イコライザー式の旧型台車を履いていた。鉄ヲタとしてのセンスもありそうだ。ちなみに非凡なセンスを見せた弟は今は鉄道には関心がない。しかし別のヲタとしてやはり非凡なセンスを見せている。
他に考えたアホな車両として自動運転仕様。真ん中にコンピュータを搭載した車両があった。一両全部コンピュータ。しかしそれだけ大掛かりなスーパーコンピュータ、多分今の入門機種よりもスペックは劣るな。大体そんな大掛かりなコンピュータを搭載して意味があるのか、小一時間問い詰めたい
普通列車にも使える特急形車両として構想したのがセミクロスの特急。基本はリクライニングシートだが、一部ソファータイプのロング。普通列車使用時にはロングシートとして機能し、特急使用時にはラウンジコーナーとして機能するという構想。座り心地と立ち客用のスペース確保が苦しそう。
話が思いっきり逸れたが、本格的に架空鉄道を構想して見よう。